2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26560471
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
一戸 紀孝 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所微細構造研究部, 部長 (00250598)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体内繊維連絡 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の各部位は線維連絡を用いて解剖学的に結合している。脳を電気生理などで機能的に解析する際に、この神経結合をあらかじめ決定した上で、電気生理を行うことは脳の行っている情報変換・操作のメカニズムの解析において強いアドバンテージがある。我々は、蛍光色素を用いたトレーサーを用いて、大脳皮質の脳表から結合を調べる方法開発し、1つの領野の活動を調べたのちに、次のレベルの強い結合をもつ脳表領野から特異的な神経細胞の活動を調べる事に成功した。本研究は、PETを用いて生体内で脳表のみならず脳深部の結合を明らかにし、脳深部を含めた情報変換メカニズムを明らかにする手法の開発を目指す。これまでは、神経結合のためのトレーサー自体をPETで可視化できるような標識の試みがなかった。しかし、PETは十分なサイズのレゾリューション(約1mm)をもち、実際にはCTBのような速い神経軸索移動トレーサーは40 cm/day(1.7 cm/hour)の速度で動くために、運動前野から、内側前頭葉まで1cm強の距離しかないため、約2時間の半減期をもつ18FのようなRIを神経連絡トレーサーと結合させると、作成直後からターゲットに注入し、半減期以内に生体内での結合を十分なレゾリューションで検知し、MRIとの併用で、適切な部位に電極を刺入出来るという、新しい斬新なアイデアに気づいた。ここで、起こるチャレンジ性は、行ってみるまで可能か不可能か分からない18FでCTBを標識することであるが、Murakamiら(2004)が、CTBと同様に Primary Amino Groupであるannexin V 分子に、18Fを結合させる手法に類似の方法で、作成を試みた。すべての反応は、自動反応機械をもちいて作業をおこなった。 Radiochemical 純粋性は95%であり、極めてよい効率で18F-CTBが作られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CTBと同様にFree Primary Amino Groupであるannexin V 分子に、18Fを結合させる手法に類似の方法で、作成を試みた。すべての反応は、自動反応機械をもちいて作業をおこなった。まず、Standard [18F]KF Kryptofix complex をもちいて、nucleophilic fluorination of ethyl-4-(trimethylammonium)でtrifluoromethane-sulfonate をベンゾエート化しすることにより、Ethyl-4-[18F] fluorobenzoateを最初に作成した。Ethyl-4-[18F]fluorobenzoate を加水分解すると4-[18F]fluorobenzoic acidが生成され、 [N-succinimidyl]-N,N,N,N-tetramethyluronium tetrafluoroborate と反応させて、N-succinimidyl-4-[18F]fluorobenzoateを作る事が可能であることが分かった。このN-succinimidyl-4-[18F]fluorobenzoateは、benzoamino bondによりfree primary amino groupであるCTBとよく結合することが、生成物の解析より判明した。全体のradioactivityは、17.6 ± 5.6% (ディケイを考慮後), 全体作成時間は180分で、特異性は1.3-1.8 TBq/mmol (35-49 Ci/mmol) . Radiochemical 純粋性は95%であり、極めてよい効率で18F-CTBが作られることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
次のチャレンジングな問題は、18F-CTBの適当な部位と結合を起こし、神経トレーサーとしての、機能が保存されうるかという問題であるが、これに関してマウスとマーモセットを用いて、フリーのCTBとの比較により、逆行性トレーサーとしての、働きがよく保存され、注入部位へ投射する部位に、免疫組織化学で同様の効率を示す事に成功した。 次のチャレンジは、この正常に逆行性のトレーサーとして、移動する18F-CTBが、PET上で観察可能であるかということである。そこで、作成直後の18F-CTBを、運動前野に注入し、1、2時間、4時間、8時間のPETのイメージとMRIのイメージを重ね合わせたところ、図2で示したように、注入動2時間のイメージおよびまたはややシグナルのコントラストが低下するが、より幅広い領野にシグナルが4時間後のPETimageで見いだされることが分かった。上記のように、この解剖学低システムはまだ安定化、再現性、最適性を調べる必要があるが、これらの18F-CTBは、その生成過程中に神経毒素を作らないため、神経活動に異常が現れるとは考えにくい。 さらなる、挑戦は、他者認知のSTSからはじまり、強力な結合システムをたどって、運動前野等を通りミラーニューロンを含むシステムを経て、情報がどのように変容して行くか、共感や共調において、nucleus accumbensなどのような基底核・報酬系・共感系の作る強力な脳深部を含む結合システムの各部位から多点電極で記録を行う方法を確立し(すでに、脳表に関しては、ミラーニューロンの発見により、生体内解剖学的手法は確立している)、社会性において重要と考えられる強い結合のある脳深部を含む領野全体に多点電極を士入試の上で述べた実際の2頭の動物のinteraction下での、餌を巡る行動・認知・共感・共調のメカニズムの理解を進める事が出来る
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