2015 Fiscal Year Research-status Report
水力発電等再生可能エネルギーの内部収益率に関する研究
Project/Area Number |
26570010
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 まなみ 桜美林大学, 総合科学系, 教授 (30458955)
豊田 知世 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (30550016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水力発電 / 住民移転 / 費用 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア、コタパンジャンダムの建設による住民移転に係る正味のコストの見積もりを行っている。同ダムは1992年から建設が着手され、1997年に運用が開始された。日本政府は300億2,500万円の円借款を供与している。建設に伴い、リアウ州8カ村、西スマトラ州2カ村、4,886世帯が移転した。 住民移転は1990年代に行われたが、移転先の農園や水道などが約束通り整備されなかったため、移転当初、村民は生活再建に著しい支障をきたした。しかし、その後、ダム事業者と地方政府が追加的に整備を行い、一部の村では養殖業振興のために魚の加工場を無償で建設するなどの支援が行われている。その結果、住民の生活は著しく完全され、リアウ州コトメスジ村では魚の養殖と燻製の製造販売で実績を上げ、スマトラ島で最も裕福な村になった。現在、養殖と燻製販売に係る雇用人数は村の18%、収入は37%を占めている。一方、西スマトラ州タンジュンバリック村は追加整備の進捗が遅れて、2010年の調査時点では移転に不満を訴える住民が多数を占めていたが、現在はその不満は解消しつつある。 このような移転住民の生活再建支援に要した費用も、ダム建設費用やIRR計算に含めるべきであるので、金額を調査しようとしたが、現地調査の結果、同ダム事業の予算書は適正に保管されていないことが明らかになった。そのため、現在、現地で聞き取り調査などを行い情報の収集につとめているところである。 トルコ、アタチュルクダムでは、原則、金銭補償であったが、一部住民には移転先の土地と住居が有償で提供されている。その事業費の見積もりを行う予定であったが、現地の治安状況悪化のため、現地調査は中止せざるをえなくなった。 また、過去に円借款で実施した高効率石炭火力発電と水力などの再生エネルギー発電のIRR計算を昨年度試みたが、一部、計算に誤りがあったため再計算を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トルコ、アタチュルクダムにおける住民移転の評価を行おうとしたが、治安状況悪化のため、現地調査を見合わせざるを得なかった。 インドネシア、コタパンジャンダムのこれまでの住民移転費用を既存の政府予算関係書から見積もろうとしたが、現地ではそのような情報は政権が変わるたびに破棄されているということで、現地で関係者等に対するヒアリングを行うことで事業費を推計することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
アタチュルクダムについては、以前、実施した研究で収集した情報がある程度利用可能なので、これを用いる。コタパンジャンダムについては、現地調査が実施中であり、そのとりまとめと解析を行う。
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Causes of Carryover |
コタパンジャンダム現地調査が前年度中に終了しなかったため、支払を完了することができなかった。また、アタチュルクダムの現地調査を取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コタパンジャンダム現地調査を完了して支払を実行し、トルコ以外の比較的治安が安定してる地域での現地調査を検討する。
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