2017 Fiscal Year Annual Research Report
Financial Internal Rate of Return of Renewable Energy Projects
Project/Area Number |
26570010
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 まなみ 桜美林大学, 総合科学系, 教授 (30458955)
豊田 知世 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (30550016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 財務的内部収益率 / 住民移転 / コトパンジャンダム / 移転費用 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア、コトパンジャンダムの建設によって移転を余儀なくされた住民に向けた対策費用とそれが財務的内部収益率(FIRR)に及ぼす影響を調査した。 土地以外の財産をデシル分析した結果、移転世帯の保有する財産は平均して、1億2700万ルピアと推定された。また、現地調査によって知りえた補償金額のデシル分布による推定値は1,340万ルピアと推定された。 上記の情報やその他の調査によって収集された、ダムの総移転費用の推定結果は次の通りである。まず、総額は1兆4千億ルピアと推定され、ダム建設に係る総費用4兆2千億ルピアのおよそ4分の1を占めていることが明らかになった。続いて、移転総費用に占める補償金は約47%であり、それ以外は住居や公共施設、農用地の整備に投資されていた。これらの補償部分の実施が遅延したことが、移転住民の不満を招いたのである。 国際協力銀行(JBIC)が実施した同ダムプロジェクトの第三者事後評価では、FIRRは5.14%と算出されていた。しかし、本計算には2004年以降の移転対策費用は含まれていない。そして、本研究で推定された費用がどの時期にどのように配分されたかも明らかではない。そのため、毎年100億ルピア程度の支出が単年度に実施されたと仮定した場合のFIRRの感度分析を行った。その結果、毎年100億ルピア程度の追加的支出が行われたとしてもFIRRの減少は1%以内に収まることが明らかになった。 すなわち、住民移転対策費用はダムプロジェクト全体のFIRRにはごく軽微な低下しかもたらさない。そもそも多くのダムプロジェクトはFIRRが10%以下であり、公的な支出が不可欠である。従って、資金提供機関はFIRRの軽微な低下を問題視することなく、十分な移転補償を当初計画どおりに実施すべきであることが、本研究から示唆された。
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