2015 Fiscal Year Research-status Report
途上国中山間地域の内発的発展~ブータンにおける地元学手法導入アクション・リサーチ
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26570014
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
草郷 孝好 関西大学, 社会学部, 教授 (30308077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地元学 / 内発的発展 / 地域活性化 / アクション・リサーチ / ブータン / ネパール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代化が急速に進みつつあるブータンにおいて、ブータンの若い世代が多世代にわたって継承してきたブータン独自の生活様式、経済社会システムの在り方に目を向けるきっかけを与えることで、ブータン社会の特質を生かした近代化を推進していく担い手として育っていくことを狙いとしている。また、村落住民が外部者の視点によって刺激を受け、コミュニティの持つ魅力や資源に気づき、住民主導の地域づくりに向かうきっかけとなることを目指している。そこで、平成27年度は、ブータンのNPOであるBCMDと協働で、地元学手法を応用したコミュニティマッピングパイロットプロジェクトをティンプー県のKabesa村落コミュニティにて実施した。同コミュニティにあるKuzhugchen学校を拠点とし、ブータンの中高生、大学生、留学生、地元住民コミュニティガイドならびに教員の参加と協力を得て実践的研究を実施した。今回参加した学生には、プロジェクトの事前事後のアンケート調査を行った。その結果から、参加前には、型にはまった村のイメージ(発展の波から取り残されていく地域)が大半であったものが、参加後には、村落コミュニティの良さをより深く知りたいという好奇心の芽生えや地域発展のアイデア出しへの関心などが見出された。その後、BCMDとの間で、協働実践を計画し、2016年4月に二回目のパイロットプロジェクトをKabesa村落コミュニティとプナカ県のGemkha村落コミュニティの2か所で実施することができた。Gemkha村では、プナカ県にある国立ブータン大学の自然資源カレッジの学生の参加、Gemkha村住民の参加と協力を得た。平成27年度においても、前年度に引き続き、文化観光、地元学に関する文献研究を鋭意行った。また、本パイロットプロジェクトをネパールにおいて展開可能かどうかについて、ネパールのNGOと検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度、ブータンにおけるパイロットプロジェクトが実践され、BCMDとの継続的な協働研究が展開されていること、ブータンの大学との連携の可能性が広がってきたこと、また、ブータンの取り組みの進展によって、ネパールにおける本プロジェクト展開への波及効果も出てきたことから、本研究の進捗状況はおおむね順調に進んできていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ブータンの村落コミュニティにおける地元学手法を用いた地域活性化手法の有効性について、パイロットプロジェクト参加者(ブータンの学生グループと村人、教員)の視点で検討する。ブータンのコミュニティマッピングと日本発の地元学手法の協働のしくみが有効に機能するかどうかをBCMDとの間で意見交換していく。また、国立ブータン大学との連携協力についても取り組んでいく。二年度にわたるパイロットプロジェクトの成果をもとにして、ブータンまたは日本において、ワークショップ実施の検討、内発的な地域活性化の必要性と地域実践、アクション・リサーチの観点を軸にした論文報告を国際学会(HDCA:Human Development and Capability Associationやアクション・リサーチに関する学会)などで発表する計画である。
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