2015 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化の中の文化観光:クリエイティブ産業と観光の政策統合に関する国際比較
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26570024
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
後藤 和子 摂南大学, 経済学部, 教授 (00302505)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世界遺産 / 美術館 / ヨーロッパの都市観光 / 文化遺産 / 自然遺産 / ファッション産業 / 日本の観光産業の課題 / 文化観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
6月にスペイン・ビルバオで開催された国際文化経済学会理事によるワークショップに招待され参加した。ビルバオは、工業の衰退による都市中心部の荒廃を経験した都市であるが、1997年に誘致したグッゲンハイム美術館等の成功により、観光産業が著しい発展を遂げた。また、文化は、観光のみでなく衰退地区の再生と社会包摂にも活用された。このような発展が一時的なものか持続可能であるのかは、他の都市にとっても関心のある問題である。ビルバオのケースでは、20年間持続した発展が続いていることが、ワークショップにおける分析によって示された。 国内では、世界遺産に登録されたばかりの八幡製鉄所周辺の観光振興に関する現地視察を行った。また、同じく世界遺産に登録されている広島県厳島神社(宮島)と観光に関する現地視察も行った。日本には世界遺産が19か所あるが、観光振興に繋がるケースと、必ずしも観光振興に繋がらないケースがある。文化遺産や自然遺産を、どのように保護し、観光振興に生かすのか、その財源をどうするのかは、日本ではまだ十分に確立していない政策課題である。八幡製鉄所の場合、現在操業中のため近づくことができず、それを是として見学が組み立てられているが、果たしてそれでよいのか。厳島神社も、宮島全体の景観としては問題が多いといわざるを得ない現状である。国内における文化観光の課題の発見という意味で意義のある現地視察であった。 2012年1月には、琉球大学に招待され沖縄を訪問した。その際に、沖縄の無形文化遺産を継承する県立芸術大学の修士課程発表会(無形文化遺産の実演)を視察することができた。 2016年2月には、ミラノ、レッジョ・エミリア市、ベネチアを訪問した。マックスマーラ本社へのヒアリングやミラノ市内の視察によって、ファッション産業と都市観光の結びつき、ファッション産業のグローバル展開について知ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2014年度に大学を異動したために、教育や外国の大学からの学生・大学院生の受け入れ等に時間を使うことが多く、研究がやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年6月には、スペインで開催される国際文化経済学会にて、文化観光の源泉としての「クリエイティブ産業振興の税制インセンティブ」に関する発表を行う。また、同じテーマで、スプリンガーから刊行される予定の共編著(英語)の執筆と編集を進める。 イタリアの現地調査も引き続き行う予定である。 国内では、文化遺産と観光の関係に焦点を絞り、現地視察やヒアリングを進める予定である。文化財による観光振興に関しては、日本政府も観光客数に応じて補助金を増減する等のインセンティブを与えることを発表した。しかし、文化財保存のあり方(その範囲と対象、財源等)、文化財を維持する技術をどのように継承するのか、文化財観光の付加価値を高めるには何が必要か、その財源としての料金体系のあり方等、検討すべき課題も多い。引き続き、日本の観光産業や都市観光のあり方をめぐって、海外との比較を通して課題を発見し、研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
大学を異動した研究初年度(2014年度)の遅れにより予算の使用も遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は国際学会発表や海外調査、国内調査、英文図書の出版とそのための英文校閲等で、予算を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)