2016 Fiscal Year Annual Research Report
Recreation management and economic analysis of the world heritage site using tradable license of mountain climbing
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26570025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗山 浩一 京都大学, 農学研究科, 教授 (50261334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世界遺産 / レクリエーション / 入山料 / 環境経済学 / 登山 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に,既存の制度である入山協力金とマイカー規制の効果について分析した。2013年に10日間だけ入山協力金が試験的に導入されたが,入山協力金が実施された前後の2012年と2013年の登山者数の変化を分析した。またマイカー規制実施日数は2013年にそれまでの約2倍に拡大されたので,この影響についても分析した。その結果,入山協力金の登山者抑制効果は4%だったのに対して,マイカー規制の抑制効果は16%であった。 第二に,登山権取引制度の経済モデルについて分析を行った。環境経済学では環境税と排出権取引に関する研究が進められているが,入山料は環境税と同様な効果を持ち,登山権取引制度は排出権取引制度と同様な効果を持つことが示された。したがって,完全情報下においては,入山料と登山権取引制度は同一の政策効果をもたらすが,不完全情報下においては異なる効果を持つことが示された。また,登山の価格弾力性が低い場合には,入山料の需要抑制効果が低いため,登山者数を抑制するためには登山権取引制度が有効と考えられることが示された。 第三に,登山権取引制度の効果について政策シミュレーション分析を行った。トラベルコスト法により旅費と登山者数の関係を分析することで,富士山登山の価格弾力性を推定した。これをもとに,登山権取引制度を導入したときに予想される登山権価格を推定し,登山者への影響についてシミュレーション分析を行った。その結果,登山者数を10%抑制して登山権を発行した場合,登山権価格は一人あたり3000円程度になると予想された。 以上の分析結果をもとに今後の世界遺産の利用と保全のあり方について検討を行った。
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