2014 Fiscal Year Research-status Report
反転授業を用いた観光学の発展に関する研究―自然科学の包含を題材として
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26570026
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
有馬 貴之 帝京大学, 経済学部, 講師 (00610966)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 反転授業 / 観光学 / 映像教材 / スマートフォン / 教育 / 地理学 / 自然科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は観光学において反転授業を取り入れることを具体的な実施項目として掲げている。その目的は観光学に自然科学の視点を取り入れ、観光学の発展に寄与することである。また、大学講義の変革によって学問分野が発展していくという本研究の構造が実証されれば、大学の意義と大学教育の意義がより重視されることにつながる。これらの一連の研究フレームワークを基に、本年度は「準備期」として位置付けられた。そして、以下にあげる三つの項目を実施した。 一点目は「大学における反転授業の動向についての検討」である。大学における反転授業は医学や教育学などの分野の教員によって率先的に試行されているが、まだまだその数は少ない。そこで、先行事例として実施されてきた反転授業についての書籍や論文等を収集、精読した。なお、本研究で題材とする観光学においては、反転授業の報告事例は皆無であった。そのため、次年度に実施する反転授業を複数行うことはリスクが高いと判断し、科目数を削減し、一科目のみで行うことを決定した。 二点目は、自然科学の視点を観光学に取り入れるために研究会を行った。観光に関わる自然科学分野の研究者を中心に様々な場所で会合や検討を行った。その結果、自然科学と観光学の関わりを整理するため、それぞれの研究者が各章を担当した大学生向けの教科書を発行した。この書籍によって自然科学的知見を生かした観光学への貢献内容を整理することができた。この書籍の内容は今後、反転授業に利用することができる。 三点目は次年度に実施する反転授業に向けて、映像資料の収集や作成、一般形式の授業の録画などを行った。本年度中にある程度の教材を確保することができた。そのため、次年度から行う反転授業をスムーズに進めていくことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画上、初年度は反転授業を実施するのではなく、反転授業を取り巻く状況の把握、自然科学と観光学との接点、次年度の反転授業用の教材としての映像資料や教科書等の整理と準備を行った。また、反転授業の動向を考慮し、本研究において反転授業を行う科目を複数ではなく、一科目「観光地」に限定することとした。計画では複数の授業で反転授業を行う予定であったが、大学のカリキュラム上の都合や研究者の負担等も考慮した結果でもある。 なお、初年度に実施科目の選定を行ったこともあり、準備期である本年度はかねがね計画通りに進んだ。また、映像教材の確保や、一般形式での授業内において学生アンケートを実施できたことなどを考慮すれば、研究は順調に進んでいるといえる。 しかしながら、反転授業の科目が「観光地理」の一科目に限定されてしまったことなどから、自然科学の要素を十分に反転授業に取り入れることが困難になってしまった。加えて、これまでの検討材料や考察などを学会発表や論文等で公表できなかったことなどを考慮すると、計画以上の大きな進展はみられないと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は反転授業の実施期となる。実施科目は一科目に絞られたので、反転授業の実施自体については問題はない。また、反転授業の教材作成なども業務委託で既に始めている。 しかし、反転授業を実際に行っていけば、予想しなかった授業の状況が生じることなども考えられる。その場合の対応もしっかり行っていく必要がある。そのため、教材作成の業務委託先と密な連絡を取り続けることで、授業時のサポート等も行ってもらえる協同体制を構築していく。
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Causes of Carryover |
反転授業の業務委託費について、支払いが次年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の冒頭に、業務委託費の使用を予定している。その他の費用は計画通り使用する予定である。
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