2014 Fiscal Year Research-status Report
倫理と宗教の相克と協働――ヘブライズム・ヘレニズムの交錯をめぐる比較研究
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26580001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 清三 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90179341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHORT J.Randall 東京基督教大学, 神学部, 准教授 (00448937)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90309427)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 倫理 / 宗教 / 旧約聖書 / 神 / ダビデ / プラトン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究実績は以下の通りである。 まず全体として11月に神戸女学院大学において研究会を開いた。関根は「旧新約聖書における命についての考え方」について、ショートは旧約聖書のダビデについて、また高橋はプラトンの後期対話篇における神と知性の関係について、それぞれ発表し、互いに検討した。 次に個別研究として、関根は、オランダのファンデンヘック社から出た旧約ヘブライ語聖書の研究史をめぐる大部の本で、アジアの旧約学の歴史と成果を概観する英語の論文を担当、また来年の定年を前に研究室の紀要に遺す「旧新約聖書の一断面」という論文を紀要に執筆したのが、昨年度の主な仕事だった。ともに「倫理と宗教の相克と協働」という本研究のテーマと密接に関わっている成果である。 ショ-トは、ダビデ王の神理解とイスラエル神との関係に基づいての倫理規定を検証しようとした。特に、ダビデ王が姦淫罪と殺人罪を起こした後、神への懺悔として継承されてきた詩篇51篇に注目した。その成果として、上述の研究会において「ダビデの倫理についての考察」と題した発表をし、ハーバード大学主催のブログ(https://blogs.law.harvard.edu/shortword)で、このテーマに関連したシリーズを書き始めた。 高橋は、上述の研究会での発表の他に、東洋英和女学院大学で開催されたASIA-PACIFIC EARLY CHRISTIAN STUDIES SOCIETYの第9回大会で、'Why is weeping sweet?: Book 4 of Augustine’s Confession', と題した発表をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が「おおむね順調に進展している」と判断した理由として、まず研究組織全体の観点からは、互いの研究を披露し、批判的に検討する機会を持てたことが挙げられる。また個別研究の観点からは、関根による聖書を中心とした宗教と倫理との関係について、ショートによるダビデにおける神と倫理との関係について、また高橋によるプラトン後期対話篇における神と知性との関係について、それぞれ着実に成果を上げていることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、互いの研究を批判的に検討する機会を設け、各自は自らの研究を、それを目指しかつそれから発展させるべく行う。各自の研究を推進するにあたっては、テキストの綿密な読解に基づいた他の研究者との対話によるところが多いので、今後は今までに比してよりいっそう、海外の研究者との学術交流を行うよう努める。
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Causes of Carryover |
平成27年度において、旅費や図書費ですこし纏まった支出が必要なので、前年度になるべく支出を抑制した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外の研究者との学術交流を積極的に行う予定である。
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Research Products
(3 results)