2015 Fiscal Year Annual Research Report
倫理と宗教の相克と協働――ヘブライズム・ヘレニズムの交錯をめぐる比較研究
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26580001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 清三 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90179341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Short J.Randall 東京基督教大学, 神学部, 教授 (00448937)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90309427)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘブライズム / ヘレニズム / 倫理 / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的な特色は、倫理の宗教的基盤を探ることを通して、しばしば対立的に考えられてきた倫理と宗教の共働の可能性を解明する点にあった。関根はこの2年間、これをユダヤ・キリスト教の論脈で「旧新約聖書の一断面」(正・続)という2つの論考に纏め、旧約だけでなく新約聖書とも関連付けて明らかにした。また東西宗教交流学会に招かれての「西田哲学と旧約聖書」という講演では、後期西田哲学によって、この方向の哲学的基礎づけを行った。これは近々学会論集に掲載される予定である。こうした研究の学術的な意義は、倫理的な混迷と、宗教的な抗争に奔る現代に、新しい哲学の灯をともす礎となり挑戦となることにある。関根はそうした自己の研究成果を、例えば“Philosophical Inquiries into Religions“と題する国際哲学会講演をもとにした論考で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など一神教同士の非倫理的な暴力のはびこる現代世界に向け、国際的に発信し続けている。 ショートは、ダビデ王が姦淫罪と殺人罪を起こした後、神への懺悔として継承されてきた詩篇51篇に注目し続けた。主な活動の一つとしては、2016年2月20日~3月5日の期間、研究旅行をし、米国のハーバード大学にて同大学の教授らや博士課程の院生と研究についての懇談を持ち、同大学の図書館を利用した。本年度の研究成果として、2016年夏に、聖書文学学会(SBL)の2016年国際学会にて、二つの研究発表をする予定である。 高橋は、プラトンの『法律』の研究におけるプラトンの神学、とりわけ知性としての神と魂との関係について、研究を進めた。それにより、魂の内にない知性としての神の可能性を探り、その成果を「後期プラトンにおける神、知性、魂」という論考にまとめた。
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Research Products
(8 results)
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[Book] Philosophy Documentation Center,2015
Author(s)
Seizo Sekine, Konstantine Boudouris, Costas Dimitracopoulos, Evangelos Protopapadakis, et al.
Total Pages
437 (203-212)
Publisher
Selected Papers from the XXIII World Congress of Philosophy: Philosophy as Inquiry and Way of Life
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