2016 Fiscal Year Research-status Report
現代日本における「死のケア」のための異分野融合研究
Project/Area Number |
26580009
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 岩弓 東北大学, 文学研究科, 教授 (50154521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 昌文 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80322973)
菊谷 竜太 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (50526671)
相澤 出 医療法人社団爽秋会岡部医院研究所, 調査研究部, 研究員 (40712229)
近田 真美子 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (00453283)
小田島 建己 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (50637296)
高橋 恭寛 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (70708031)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 死 / 死のケア / 死生観 / グリーフケア / ターミナルケア / 死者観念 / 身体観 / 看取り |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究では、現代日本における<死>をめぐる現場に根ざした<ケア>のあり方に留意することを通じて、人文社会科学の諸分野からの研究成果を、<ケア>の現場に反映させる道の創出を図り、新たな「死のケア」の道を探ることを目的としている。 (2)今年度の研究も、昨年度と同様に、研究メンバーそれぞれによる<個としての研究>と、メンバーが共同研究として全体統合的に実施する<群としての研究>の二方向から行われた。 (3)これまで行った本研究の研究成果の中間発表会は、第1回目を平成27年度に岡山大学における公開シンポジウムとして開催したが、本年度はその第2回目の発表として、6月25日に東北大学で同じく公開シンポジウムとして開催した。そこで開催したシンポジウムは「死の受容の最前線- 死ぬまえ 死ぬとき 死んだあと -」の題名で「老いは『恥』か、『若きにまされる』か-17世紀にほんにおける『老い』の諸相-」(本村昌文)、「余命1か月以内であった終末期がん患者の語りより」(大浦まり子)、「初めて患者の死に遭遇した看護学生の経験」(近田真美子)、「死を見つめる~看取りの現場からの語り~」(工藤洋子)、「在宅緩和ケアの看取りをめぐる動物たち-患者と家族にとっての意味-」(相澤出)の5報告の後、フロアからの質問を交えての討論となった。 (4)最終年度を迎えたため、本研究プロジェクトの報告書を刊行する計画で出版社とも相談しながら、研究成果の報告をまとめる準備を進めてきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
6月に東北大学で開催したシンポジウムの際のフロアとの討論においては、人文社会科学領域からの研究者と医療や介護の現場に経つ看護師などの間の意見交換が予想された。ただその議論のなかでは、看取りの現場における「死の受容」と「ケア」のかかわりの中で、とりわけ想定していなかった医療と宗教の兼ね合いに議論が集中した。 そのため、前年度からの研究の中でまとめられつつあった報告書へ向けての編集作業において、それぞれの論文に医療と宗教の”絡み”を盛り込む必要が生じ、年度内の報告書刊行に遅れが出ることになった。本研究立案に際しては、多くのディシプリンから「死の受容」に焦点を当てることにセールスポイントをおいて研究を推進し、これまであえて大きく取りあげないできた死生観形成の裏にある宗教性への注目は、事前調査では確信を持って外してきたところであるが、年度を繰り越すことで万全を尽くした議論にたつ報告書作成を目指すことにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
秋以降の研究会は、仙台での直接対面的な会議に、本林がスカイプで参加するという形で経費を極力掛けない方策で新年度に向けて継続的に実施してきた。 既に完成した原稿は、研究グループ内に回覧し、さらなる意見交換をメール会議を通じて行っている。最終的にはそうした形のブラッシュアップが報告書作成へと結びつくことと考えている。 最終原稿提出を6月末までに行い、その後最終的な編集作業を経て今年中の出版を目指している。
|
Causes of Carryover |
東北大学で実施したシンポジウムの際に明らかになった、医療と宗教に関する観点の導入をこれまでの各自の研究に取り入れることを年度内の目標として変更し、最終年度に予定していた報告書の刊行のための経費、および秋以降の研究会に予定していた旅費の使用を行わなかった。これらの経費は平成29年度に使用することとし、それまでの間は、メール会議を行って意見交換をしながら各自の研究の深化を図ることとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現段階では、現在進行形でメール会議を行っており、各自のこれまでの研究成果のブラシュアップを図っている。その成果は最終的に6月末までにまとめることとし、8月に研究会を開催して最終検討を行い、12月までに研究調査報告書の刊行を実現する。
|
Research Products
(11 results)