2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26580013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 晋 京都大学, 文学研究科, 教授 (40156443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福谷 茂 京都大学, 文学研究科, 教授 (30144306)
上原 麻有子 京都大学, 文学研究科, 教授 (40465373)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 谷川徹三資料 / 新京都学派アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では、田辺元が受け取った書簡の送り手の子孫などを見つけ出し、書簡の存在を問い合わせる、という手法と、京都学派の思想家の資料を保管する文書館などを訪問調査する予定であった。この二つの内の前者は、岩波書店における西田幾多郎全集での書簡収集の担当者へのインタビューで、同全集書簡収集が、この方法で行われたことを聞い手着想した。しかし、本研究開始後、細部を聞くために同編集者に再度インタビューすると、「個人をあたるより地方の文書館にあたる方が良い」という意見であった。これは同編集者が芥川龍之介の全集を担当した際の経験から来た示唆であった。貴重文書は地方の文書館に寄贈されることが多く、しかも、その量が少ないと文書館は遠慮して宣伝をしないので、知られず所蔵されている資料が多いのである。その頃、偶然、常滑市の「谷川徹三を勉強する会」というアマチュア研究者グループから、谷川徹三宛ての田辺元の書簡を、同会が借り受け研究・刊行しているとの連絡が入り、常滑市の同会と同市立図書館の現地調査を行った。その結果、同図書館も貴重資料を持っており、また、谷川の会には、京都学派と海軍などの具体的関係を示す、貴重な資料が数多くあることがわかった。これは、先の編集者の意見の正しさを示す重要な実例であった。これを受けて調査方法を変更し、図書館、文書館などをターゲットとすることにした。また、それらへのアクセスも、直接ではなく、京都学派アーカイブを通して行うことにした。現在、地方の図書館、文書館は予算が大変厳しい状況にあり、WEBサイトで貴重資料を紹介する余裕もない状況であり、それを京都学派アーカイブで紹介すると申し出ると大変に喜ばれた。そこで、資料を展示する代わりに資料についての情報の提供を促すという方式に変更をした。そのためアーカイブを西田・田辺のみから谷川を含む、京都学派の多くの思想家に広げつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査方法を変更したので、進捗を計画と比べることが難しいが、文書館、図書館などの訪問調査という計画が、谷川徹三資料の場合を例外として出来ていない。この部分では、遅れが認められるので、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新京都学派アーカイブは基本デザインが完成して、谷川徹三資料についてのデータなどを入力する段階に達している。これを進めるとともに、計画している文書館などの訪問(学習院、石川文学館、法政、西谷記念館、三木記念室など)を実施し、また、石川県立哲学記念館を再度訪問し、同館のキューレータ中嶋氏(京大院生の際に、話と田辺元の研究の共同研究者であった)とも連携して、資料調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究実績の欄で説明したように調査方法を大きく変えた。また、新アーカイブを作成して、谷川徹三資料の紹介の事例を作った段階で、京都学派史料の存在が知られている文書館を訪問し、また、それから得た情報を元に、さらなる文書館や個人やグループなどにアクセスする予定でいる。これは谷川徹三資料のページという実例を見せ、それをインセンティブにするためである。しかし、方針変更が秋の段階であり、また、新アーカイブの作成に手間取ったため、全体が遅れており、かなりの額を27年度に残すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新アーカイブは業者に依頼したデザインが完成し、データの入力などの段階に入っている。旧アーカイブからのデータの移転のバイト謝金、今年度行う多くの文書館の訪問費用などで、残りの予算が必要であり、的確に使っていくことになる。
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