2016 Fiscal Year Annual Research Report
'Sciences of Character' in Nineteenth-Century Britain
Project/Area Number |
26580014
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川名 雄一郎 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (20595920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性格の科学 / 骨相学 / 犯罪人類学 / 生理学的決定論 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨相学から犯罪人類学にいたる「性格の生理学的決定論」の系譜をとりあげて理論的分析をおこなった。 19世紀前半の骨相学の展開を考える際に重要なのはガル、シュプルツハイム、コームの3人の骨相学者と、骨相学の普及の舞台としての『骨相学雑誌』および(各地に設立された)骨相学会である。これらを対象として、生理学的決定論としての骨相学の特質を考える上で重要なのは、骨相学をめぐる論争において、医師であったガルが解剖学や生理学に関する専門知識を用いながら理論を展開したのに対して、医学的バックグランドをもちつつも生理学・解剖学に関心の薄かったシュプルツハイム、および医学的バックグランドをもたなかったコームの議論はもっぱら骨相学の社会的・教育的効用をアピールするものであったという点である。この点を一次文献に基いて検討した成果については、経済学史研究会(2016年12月)および日本イギリス哲学会(2017年3月)で口頭発表をおこない、現在論文にまとめているところである。 19世紀の犯罪人類学については、隔世遺伝によって獲得される一定の身体体的・精神的特徴を具備した人間は必然的に犯罪をおこなうとする、ロンブローゾによる「生来性犯罪人説」を取り上げ、骨相学との関連について検討した。ロンブローゾによる骨相学への高い評価の内実を検討するとともに、ロンブローゾの理論形成にとって進化論をはじめとする19世紀後半に現れてきた新しい思潮のもっていた意義を検討した。この研究成果を取り込んだ英語論文について現在査読誌に投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)