2014 Fiscal Year Research-status Report
日本の話芸における「おかしみ」の理解の研究法 -笑いの文化差の視点から-
Project/Area Number |
26580025
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
酒井 たか子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40215588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUSHNELL Cade 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30576773)
山田 亨 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60706943)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 話芸 / 落語 / 文化 / 理解 / 笑い |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の話芸には、落語、漫才、講談などがあるが、聞き手は、話し手の言語、非言語情報を受け取り、話し手の描く世界と共有するために豊かな想像力が求められる。面そこには文化を超えた普遍的な面と、日本独自の文化背景に根ざしたものがある。何を白いと捉えるかは、文化により異なる部分も大きい。その違いを明らかにすることにより異文化間コミュニケーションの理解を助けることができると考える。本研究では、日本の話芸の中心の一つである「おかしみ」について、どのような要因で共通の感覚になりうるのかについて考える。 本年度進めた研究は以下のとおりである。 1.ユーモア感覚や話芸に関して、特に文化による違いに関して先行研究の調査を行った。2.本研究で用いる調査材料を、落語の小噺を題材とすることにした。落語は、外国語教育で多く用いられる「ロールプレイ」の視点から見れば、一人で何役も演じる特徴を持ち、世界でもユニークな話芸であると言える。また十秒程度から数分の長さで完結する小噺には、様々なタイプものが含まれ、「おかしみ」の要因をより明確にできると考えた。3.研究協力者のプロの落語家に依頼し、留学生を聴衆として口演を実施した。言葉の面白さを中心とするもの、表情、しぐさなど視覚的な面白さを中心とするもの、人間の性格など普遍性を面白さとするもの、話の筋の意外性に訴えるものなど、10数本の小噺を収集した。4.映像を編集し、すべての文字化を行った。映像に合わせて字幕として入力した。5.日本語学習者にインタビューの形式で、話の分かりやすさ、難しさ、面白さについて調査を行い、それを受けて理解を助けるための問題や説明の提示の仕方について提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本語学習者の理解を問うための適切なプログラムが構築できず予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
学習者の理解を問うための題材については、すでに録画し編集したものをプロトタイプとして内容理解問題や理解補助説明の作成を行う。それを利用して日本語学習者の声を取り入れながらCALLプログラムの作成を進め、予備調査としてのデータ収集を行う。
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Causes of Carryover |
日本語学習者にとって使いやすいインターフェースを実現するうえで、プログラム作成についての検討に時間がかかり、実際にプログラム開発まで進めることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額を含めた研究経費は、プログラム開発のための委託費、物品費、データ処理補助者の謝金、情報収集・成果発表のための旅費などに使用する予定である。
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