2014 Fiscal Year Research-status Report
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26580042
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
荻野 静男 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80204105)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 著書執筆 / フィールドワーク / 国際情報交換、ヨーロッパ / 論文執筆 / 外国大学院ゼミ参加、アメリカ / 海外学会出席、アメリカ / 国際情報交換、アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年4月~7月ベルリン自由大学演劇学部に客員研究員として滞在。M.ヴァルシュタット主任教授のもとで「オペラ映画の歴史とオペラ映像の将来」に関する研究を行う。また同大学音楽学部J.メーダー教授とも交流し、計画中の著書の音楽関連部分に関し助言を受ける。この間計画中の著書を約15頁執筆。特にニュー・ジャーマン・シネマ運動との関連でオペラ映画を考察。またベルリンでは国立歌劇場等に通い、オペラのフィールドワークにも励む。さらにアイルランドとイスラエルを訪問し、C.モリス教授及びM.グローヴァー・フリードランダー教授から貴重な助言を得る。 平成26年8月1日ベルリンを離れ、アメリカ・ニューヘイブンのイェール大学音楽学部に赴く。同学部で平成27年3月30日まで研究滞在しG.クロイツァー教授の指導を仰ぐ。教授の大学院ゼミ「オペラ・メディア・テクノロジー」への参加により、メディア全般とオペラ映画に関する重要な知見を獲得。またこのゼミの一環として歌劇場のサウンド・デザイナーM.グレイ氏が招かれた。氏とのインタヴューにより、音声メディア分野で啓蒙される。10月イギリス・グライドボーン・オペラでのコンファレンス「オペラと未来のメディア」に参加し、ヨーロッパ各国のオペラ学関係者と情報交換。オペラ・メディア分野の最前線を知る。11月ミルウォーキーでアメリカ音楽学会に参加。オペラの演出やパーフォーマンス関係の発表を聴くと共に、ライス大学のM.シトロン教授とオペラ映画研究について懇談。著書執筆を進める上で、重要な視点を得る。アメリカではニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のライブ・ヴューイングも定期的に鑑賞し、インターネット活用のオペラ映像の実態を知る。引き続き著書執筆を行い、約15頁を書き足す。さらにI.ベルイマンのオペラ映画《魔笛》に関する論文を帰国前にほぼ完成。帰国後5月初めにそれを入稿。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外のオペラ・映画・メディア研究の第一線で活躍する研究者と意見交換を行ったことにより、著書の中核的コンセプトを獲得することができた。また「オペラ映画」を通時的に考察する能力も身につけた。そして映画メディアに限らずメディア全般に関する知識を得たので、オペラ映画というジャンルを相当程度俯瞰することができるようになった。さらにオペラ全般に関する幅広い知識も得られたので、以前よりはるかに広範な視野をもって「オペラ映画とオペラ映像の将来」というテーマに取り組むことが可能になった。 今後何か疑問点が出てきた場合も、海外のどの研究者に問合せれば良いか大体わかるようになった。またドイツとアメリカに長期滞在したので、ドイツ語と英語の語学力もかなり身についた。これから情報交換を行う際も以前よりスムーズにやれるものと思っている。 以上の事柄により、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツ及びアメリカで収集した研究資料を存分に活用し、今後の研究に励む。またイタリアやスペインに赴き、J.ロージー監督の《ドン・ジョヴァンニ》やJ.フランコ・デ・ボシオ監督の《トスカ》、F.ロージ監督の《カルメン》などのオペラ映画のロケ地を訪問することにより、新たな知見を獲得したい。また同時にプロジェクトの著書に掲載するための写真を多数撮影し、そのヴィジュアル面での充実を図りたい。そしてイタリア語とフランス語の語学力充実を図り、各オペラのリブレットの理解力を高める。 さらに上記オペラ映画に関する発表を行い、それに関する批判や意見などを聞いた後、論文を執筆する方向に持ってゆく。最終的には諸論文を集成してプロジェクトの著書を完成したい。
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Causes of Carryover |
アメリカにおいて面会する予定だった研究者4名が病気等の理由で面会をキャンセルしたり、こちらからコンタクトを試みてもまったく返信がなく、連絡を取れなかった。そのため彼らを訪問できなかったので、旅費が余った。 また1年間少々あわただしい海外生活を送ったことにより、物品を購入する時間的余裕があまりなかったため、物品費を予定通り支出できなかったことにもよる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外におけるオペラ/音楽劇関係の学会・コンファレンス等に積極的に参加する。たとえば平成27年6月30日~7月2日に開催されるイタリア・ボローニャでの第1回トランスナショナル・オペラ・コンファレンスやインドのHyderabad大学において7月5日~7月12日に開催される国際演劇学会、11月12日~11月15日にLouisvilleで開催されるアメリカ音楽学会に出席する予定。また夏季休暇中にイタリアにおいて有名オペラ映画のロケ地現地調査や資料収集を行うつもりである。これにより、旅費を相当程度支出できると思う。 また今年度は在日本ということで比較的落ち着いた生活が可能なので、書籍やDVD等の研究資料の他、ラップトップや電子辞書も購入する予定である。これにより消耗品費や物品費をかなり支出できる。 さらに平成27年度はアルバイトの研究補助員2名を雇用したので、人件費支出もある。
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Research Products
(2 results)