2016 Fiscal Year Annual Research Report
Philological Study on Takimono Culture during Medieval and Modern Times in Japan: The Origin, the Ultimate Reality and the Historical Transitions on Shinsaku Takimono
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26580046
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
田中 圭子 広島女学院大学, 総合研究所, 研究員 (20435051)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薫物 / 香 / 新作薫物 / 日本の伝統文化 / 禁裏・公武 / 薫物書 / 流派 / 秘伝書 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、京都大学附属図書館に収蔵される菊亭家(今出川家)関係の貴重書の調査研究を実施して成果を論文化するとともに、研究期間中に収集した薫物書の釈文を登録したデータベースを構築して、テキストの精査と内容分析を行った。データベースには平成28年3月末現在で薫物の処方1,203点、及び薫物の調合法922点、及びその他記述64点を登載している。以上の活動の他に、薫物書の伝承に記載される江戸時代以前の人物の閲歴に関する資料調査も行い、実在の人物の薫物に関する新たな業績及び人脈の発掘と検証に努めた。 本研究の成果を用いることにより、特定の人物の氏名や略称を検索値に設定して関係するとされるテキストを検出したり、特定の香具をある一定の分量により配合した処方を検出したりすることができる。これにより、薫物の文献に精通していなくても、ある処方の正統性の検証や先後関係を含む影響関係の解明等が可能になる。 研究の進捗状況はおおむね順調である。ただし、最終年度に計画していた海外所属学会における成果発表については、期間内に開催予定の大会の趣旨に本研究の成果がそぐわなかった為、これを補完する目的から、昨年度及び今年度に国内において開催された国際研究会において成果報告を実施した。また、本研究開始時に69件154点の新出資料の所在が明らかにされたことから、構築中の薫物書釈文データベースに大幅な拡張の必要が生じた。これらの新出資料の調査研究及びデータベースへの入力には数年にわたる活動計画及び予算を要することから、本研究に継続する形での新たな補助事業の実施を計画している。 なお、構築中のデータベースは、現在確認中の新出資料の閲覧調査及び釈文データの登録が完了し次第、段階的に公開することにより、古代から近代にわたる薫物文化の実相と史的変遷について文献学的に跡付ける為の研究資源として社会に還元したい考えである。
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Research Products
(10 results)