2014 Fiscal Year Research-status Report
「メタバイオグラフィー」の学際的研究を通したモダニズム・ポストモダニズム再考
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26580058
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
星 久美子 信州大学, 人文学部, 特任准教授 (20572142)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタバイオグラフィー / モダニズム / ポストモダニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の伝統的な伝記とは異なる「メタバイオグラフィー」を学際的に研究し、新しい文学ジャンルとして確立することを主目的として行い、最終的にポストモダンの時代に書かれた「メタバイオグラフィー」を分野横断的・包括的に研究することを通して、モダニズム・ポストモダニズムの関係性を再考することを目指して行われている。平成26年度上半期は、「メタバイオグラフィー」の定義を提示することを目指し、伝記研究に関する基本的な文献を読み進めると同時に、<伝記についての伝記>を代表するニコラス・A・ルプケの『アレクサンダー・フォン・フンボルト伝』(2008)と<伝記を書いていく過程を明らかにする伝記>を代表するA・J・A・シモンズの『コルヴォーを求めて』(1934)を考察し、平成26年5月24日(土)・25日(日)に北海道大学札幌キャンパスにて開催された第86回日本英文学会において口頭発表をし、国内の研究者との質疑応答を通じてこの問題に関する理解を深めた。さらに、<伝記を書いていく過程を明らかにする伝記>という観点からジェフ・ダイヤーの『怒りに任せて:D・H・ロレンスとの格闘』(1997)を考察し、平成26年6月23日(月)から27日(金)にイタリア、ガルニャーノで行われた第13回国際D・H・ロレンス学会において口頭発表し、国外の研究者との質疑応答を通じてこの問題に関する理解を深めた。平成26年度下半期は、日本英文学会での発表内容を要約し、大会の紀要(プロシーディングズ)に投稿するとともに、国際ロレンス学会での発表原稿を論文として書き直し、D. H. Lawrence Reviewに投稿、現在、査読結果待ちの状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度上半期は、計画通り研究を進め、成果を日本英文学会および国際ロレンス学会にて口頭発表し、その一部を論文として執筆・投稿することができた。下半期は「メタバイオグラフィカル・フィクション」に分類されるポストモダンの小説の考察を行う予定であったが、本研究を始めてから発見された「メタバイオグラフィー」の数が多く、それらの研究を行うことで、当初の研究目標を達成することが可能であるため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度上半期は、従来の伝記と袂を分かち、「新しい伝記」を創始したリットン・ストレイチーおよびA・J・A・シモンズに第一次世界大戦が及ぼした影響について考察し、イギリスのキングズ・コレッジ(ロンドン)で5月21日(金)から23日(土)に行われる国際学会(Aftermath:The Cultural Legacies of World War I)において口頭発表を行う予定である。下半期は、これまでの研究成果を論文として完成させた上で、国内外の紀要に投稿することを目指し、最終的に本研究の目標である「メタバイオグラフィー」の定義を確立し、最終目的であるモダニズム・ポストモダニズムの関係性の再考に向けて道筋をつけたい。
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Causes of Carryover |
26年度上半期は、夏季休暇を利用して、国内では入手できない一次資料の複写および情報収集を行うため、イギリス(大英図書館・ケンブリッジ大学図書館・ノッティンガム大学図書館など)に一週間ほど滞在する予定であったが、研究の進捗状況を鑑み、次年度に延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の夏季休暇、あるいは春季休暇を利用して、国内では入手できない一次資料の複写および情報収集を行うため、イギリス(大英図書館・ケンブリッジ大学図書館・ノッティンガム大学図書館など)に一週間ほど滞在し、26年度に執行できなかった予算と27年度請求額を合わせて使用する予定である。
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