2014 Fiscal Year Research-status Report
パリ・エコール・デ・ボザール蔵日本美術品499点(未公開)の総合的研究
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26580062
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
柏木 隆雄 大手前大学, 比較文化研究科, 教授 (20098495)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トロンコワ・コレクション / ボザール蔵品目録作成 / 国立図書館版画部 / アール・デコ図書館 / ギメ美術館 / ジャポニスム / ロベール・ルボーディ / ガストン・ミジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀末フランスにおけるジャポニスム研究にとって貴重な未公開資料であるトロンコワ・コレクションは、1907年、日本部門がなくなったルーヴル美術館から、ガストン・ミジョン学芸員のよって、ロベール・ルボディの名のもとで、ボザール、アール・デコ,ギメ美術館、国立図書館の国立の4機関に分配されたものである。先行研究としては、日仏会館・フランス国立日本研究センター所長、クリストフ・マルケ氏の研究があるが、現在に至るまで、その全貌はつかめていない。 当該年度は、ボザールで新たに発見された掛物2点(ボザール受け入れ番号37290,37297)をふくむ肉筆絵画(60点)、浮世絵(355点)、絵本(45点)で構成される,パリ・エコール・で・ボザール蔵トロンコワ・コレクションの全貌について思文閣出版『日仏文学・美術の交流』(2014)に詳細を示した。 さらに従来明らかにされてこなかったアール・デコラティフ図書館が保管するコレクションの一部である肉筆絵画についても、図書館司書の協力を得てすべての作品について蔵品目録にそって写真撮影を行いろいろ2015年度の研究対象とすることができた。 さらに、国立図書館には肉筆絵画は収蔵されていないことを学芸員からの直接情報で確認し、ギメ美術館では、折しも蔵品の整理中であった日本部門主任学芸員のエレーヌ・バイユー氏の協力を得て、最新の蔵品目録をコピーし、これも2015年度の研究対象として分析考究する手がかりをえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アール・デコラティフ図書館では、保存状況が劣悪であるために,収蔵時の儘の状態で、学芸員のみが図書館蔵品目録の分類資料作成のために開いたことがあったという、貴重な肉筆絵画を実見し、学芸員との信頼関係で作品の説明などを現地で行うこともできた。なおギメ美術館では、ルボーディ・トロンコワ・コレクションという名で登録されていたので,トロンコワ・コレクションの由来を説明し、資料の開示を約束をとりつけた。 2015年度に大手前大学で開催予定のトロンコワ・コレクションを中心とした日仏文学・美術の交流をテーマとした国際シンポジウムで、これまでの研究成果を問う予定である。 また2014年度には日仏マンガの交流と題したシンポジウムを大手前大学で行い、19世紀前半の挿絵画家の研究を発表し、19世紀後半のジャポニズムへの一つの助走としての歴史を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年からの研究と実地踏査を踏まえ、本年11月に大手前大学において、2013年度開催の国際シンポジウムに続き、『日仏文学・美術の交流二』を開催して、研究の成果と進展を図る。フランスからは、ルーヴル美術館元学芸員レジス・ミシェル氏、ギメ美術館学芸員エレーヌ・バイユー氏、ボザール図書館エマニュエル、シュワルツ氏、とアール・デコ図書館ロール・エベルシィル氏を招聘し、国内からはクリストフ・マルケ氏、日本国際文化センターの稲賀繁美氏、京都芸大の松尾芳樹氏等の参加を得て総括を行う。 科研費のみでは到底実現不可能な事業であるが、19世紀末に海外に運ばれた日本関連の重要な資料であるので、財団法人などの支援を得て、できる範囲で本事業を実現したい。
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