2015 Fiscal Year Research-status Report
1980年代中国のキャラクター研究―文化的余波と商業的使用を中心に
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26580063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加部 勇一郎 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30553044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国 / 児童文化 / マンガ / キャラクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀後半の児童文化の中から、人びとに広く認知された「黒猫警長」「三毛」「ひょうたん兄弟(葫蘆娃)」などの存在(以下、キャラクターとする)に着目し、関連するさまざまな作品(連環画・マンガ・アニメ・キャラクターグッズ・続編・二次創作)と、それらにまつわることがらを網羅的に収集・分析することで、中国の人と社会および「出版文化・図像文化・児童文化」について総合的に考察・記述することを目的としている。 本年度は主に雑誌『児童時代』の閲覧および分析、「三毛」の50年代の続編および現代的受容についての資料収集、マンガ版「黒猫警長」に関する研究と報告を行なった。具体的な成果は以下の通り。 1. 雑誌『児童時代』から、異国表象に関する部分を抽出し分析を施した。また、雑誌価格を創刊から66年までリストアップし、その推移について分析を施した。 2. 浙江省嘉興市海塩県における「三毛」文化の調査と資料収集、および、東洋文庫(東京都)における「三毛」関連資料の閲覧と調査。また、東京大学図書館(東京都文京区)における、『三毛迎解放』『三毛今昔』『三毛翻身記』などの、1950年代の新聞『解放日報』に連載された「三毛」シリーズの閲覧と調査。 3. 京都国際マンガミュージアム(京都府)で開かれたシンポジウムにて、中国における「黒猫警長」シリーズについての発表を行い、とくに戴鉄郎氏によるマンガ版「黒猫警長」について紹介・発表することで、マンガ研究者たちとの意見交換を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京への二回の資料調査により、「三毛」シリーズに関する貴重な資料を手に入れることができたため。また、「黒猫警長」のマンガ版に関する考察を深めることで、児童にどのように受容されたのかについての研究を進めることができたため。また、雑誌『児童時代』の読み込みを通じて、今後の研究発展の基礎固めを行なうことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 国内外における研究会への参加:中国20世紀文化の研究者が集う研究会に参加・発表することで、意見交換の機会を設ける。 2. いままでに収集した「三毛」および「葫蘆娃」に関する資料を読み込み、文章の形で発表する。 3. 共産圏の他の地域(ロシア(旧ソ連を含む)やベトナム)の研究者と連携し、アニメやキャラクター、児童文化や科学普及に関する研究会を開催し、その成果をまとめた論集を作り、広く配布する。
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Causes of Carryover |
予算を国外調査の費用にあてることをやめ、国内調査の費用にあてたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(最終年度)における研究成果の公開促進のための、冊子製作の費用にあてる。
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Research Products
(6 results)