2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Chinese Classical Novels: "Author" "narrator" and "protagonist"
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26580064
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上原 徳子 宮崎大学, 語学教育センター, 准教授 (50452917)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国古典小説 / 中国近代知識人 / 翻案 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度までに研究を総括することができなかったため、継続して研究のまとめとなる論文を執筆することとなった。 まず、前年度の研究結果をまとめるために執筆をしていたものを、5月に「林語堂による英訳『鶯鶯傳』について」(『アジア遊学 』218、181-190頁)を発表した。ここでは検討しきれなかった問題について、同じ作品についてとくに作品の序文についての考察を行い論文を執筆し、翌3月に『林語堂による英訳「鶯鶯傳」前書きの検討』(『宮崎大学教育学部紀要』第92巻、121-129頁、2019年)を発表し、前述の論文の内容を補足することができた。後者の執筆にあたっては、9月22日に東山の会(京都女子大学にて開催)において、「林語堂による英訳「鶯鶯傳」に関する諸問題」を口頭発表し、そこに参加していた唐代文学研究者から専門的知見に基づいた意見を得ることができた。唐代文学研究のこれまでの経緯から、林語堂の翻訳当時の彼の文学的価値観の背景を理解することができた。また、不明瞭であった英訳の日本語訳部分についても意見をいただき、今の時点での確定を行った。 本研究は、当初は明末の作品を対象と考えていたが、後に発見した資料がよりテーマに近い研究ができると考え対象を修正した。今年度までに彼の残した本案作品の中でまずは一作品について検討することができた。一方、日本で新発見された中国古典に関する資料の情報が知識人の間でどの程度共有されていたのかや、海外在住の華人達が自分たちの文化として古典小説をどのようにとらえていたのかなど多くの未解決の点があり、本研究を引きつぐ形で始める、基盤研究C「中国近代における「古典小説」概念形成に関する研究」においてさらに深化させることができよう。
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