2014 Fiscal Year Research-status Report
複合語の実時間的構造処理:語彙処理研究と統語処理研究の協働をとおして
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26580071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 たかね 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10168354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ピッチアクセント / 事象関連電位 / 複合語 / 規則適用 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、当初計画されていた実験のひとつとして、単独語と複合語を対象に、異なるタイプのアクセント違反に対する脳波反応を調べる実験を行った。具体的には、単独語もしくは複合語として正しいアクセント、語彙記憶違反であるアクセント、日本語のパタンとしてありえない、つまり音韻規則に違反していると考えられるアクセント、また複合語アクセント規則の過剰適用または適用損ないからなるアクセント違反を比較した。 刺激作成およびその検討を得たのちに必要な条件を備えた刺激セットを選定し、必要数の被験者に対して脳波測定実験を行い、分析を行った。この結果、複合語アクセント違反に関連する脳波成分と、語彙記憶違反に関連するそれは異なったものであること、また、ここで見られた違反は先行研究で報告されたものとは異なった極性を持つ成分であることがわかった。先行研究と異なった結果が得られたことから、語彙アクセント違反に対する心的反応についての議論をより精緻化する方向で考察を進めている。上記比較のうち一部分はH27年6月開催予定の日本言語学会に採択されている。 また、当該実験におけるいくつかの検討課題についても議論を重ね、必要な改善を施した追実験の計画についてもメンバー内で議論を行い、また公開ワークショップ「神経科学と心理言語学」(翔雲会)を始めとする公開研究会の場で多くの研究者の助言を得ることができた。 現在は、実験で得られたデータの残りの条件比較について引き続き分析検討を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に概ね沿った形でここまでは進展している。ただし、初年度の実験結果が、予測したよりさらに複雑な検討を必要とするものとなったため、追加実験を計画することとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
H26に行った実験の議論をより精密なものとするために、単独語に的を絞り異なる課題を採用した追実験をH27年度前半に行う。その後は計画書に沿って、異なる意味構造を持つ複合語を用いた脳波実験に着手する。
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Causes of Carryover |
実験の一部が、一時的な機材不良のため中断され、その間の被験者謝金および実験補助謝金を翌年に持ち越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追実験の際の被験者謝金および実験補助謝金として執行する。
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