2015 Fiscal Year Annual Research Report
最適性理論の方法論を応用した発話の非流暢性の分析とその統計的検証
Project/Area Number |
26580073
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Research Institution | Niigata University of Rehabilitation |
Principal Investigator |
氏平 明 新潟リハビリテーション大学, 医療学部, 教授 (10334012)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発話の非流暢性 / 阻止 / 引き伸ばし / 繰り返し / 非流暢性の引き金 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究実績に,課題番号23320083 基盤研究(B)の「言語の普遍性と個別性を考慮した言語障害の症状の解明とそのセラピーの探求」の研究成果を加え,2015年5月17日第41回日本コミュニケーション障害学会学術講演会の吃音および流暢性障害研究会分科会で発表した。26年度の研究対象の発話の非流暢性は,繰り返しスタイルの/tatango/(単語)や/ttttri:/(tree)や/tsutsutsungti/(総体)等であった。27年度では,/syo?ku/(職;?は阻止)のような語中の阻止と/to:::koro/(ところ;:は長く伸ばす)のような引き伸ばしも,繰り返しと同じように音声の移行がつながらない非流暢性だと判明した。語中の阻止や引き伸ばしは,繰り返しと一体化して,つぎのように,/hu?huhutari/(2人)/sa:::sasakiga/(先が),現れることが多い。これは繰り返しと同様に,共鳴音から阻害音への音声の移行に躓いての途切れと考えられる。ただし語句頭や文頭の阻止は,先行研究から発話のリハーサルが余分な負担を発話に与えた結果と想定できる。したがって分析の対象が語中の阻止,引き延ばし,繰り返しに広がった。また繰り返しスタイルも音声の移行が引き金になっていない場合もある。それは中国語で語頭音節の声調生成に失敗してやり直す場合や幼児の言語獲得期に調音の未熟からその目標の分節素を繰り返す例が見られる。しかしそれは中国語では特別な声調で,言語獲得期においては獲得の遅れる/s/や/r/や/k/に限られるので,除外は容易でかつ極めて少数であった。またアクセントや声調の影響からの非流暢性は各言語の異なるリズムの引き金の序列で分析可能であった。以上を加えて,成果を日本音韻論学会20周年記念『現代音韻論の動向:日本音韻論学会の歩みと展望』に投稿して掲載される事となった。
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Research Products
(2 results)