2017 Fiscal Year Annual Research Report
Linguistics of 'Ba': Emergence of Meaning in Ba
Project/Area Number |
26580074
|
Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
片桐 恭弘 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 学長 (60374097)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 語用論 / 場の言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常言語の使用は高度に文脈依存的である. 文脈依存性は, 主体としての話者の発話生成・解釈を規定する時空間, 認知的, 言語的要因のみに限定されず, 言語使用者の所属集団に固有の社会規範・文化・価値が言語行動を規定するという側面も存在する. 本研究は, 生物・物理科学分野で局所的構造・現象と大域的構造・現象との相互作用を記述するために提案された「場」概念を出発点として, 言語使用を規定する社会的・情報的制約を「場」ととらえる新しい言語理論を開発することを目的とした. 平成29年度は, 昨年度までの国際研究集会における「場」概念に関する討論を発展させて, 言語学における「場」概念に関するより広い理論言語学, 言語人類学, 社会言語学, コーパス言語学, 情報科学, 英語教育など多様な専門分野の研究者を集めた国際研究集会を開催した. また国際語用論学会での発表, Parisで開かれた文脈に関する国際コロキウムでの招待講演および討論を通じて「場」概念の発展を図った. そのような活動を通じて, (1)「場」概念を捉えるためには原初的な場, 言語活動を取り巻く場, 理論化によって記述される場の三階層を設定することが有効であること, (2)場の影響は日本語の表現使用や日本文化に典型的に見られるが, 必ずも日本・日本語のみに限定されるわけではなく, 世界的に普遍性を備えた基礎概念であること, (3)共有意図など共同性を支える心的要素としてこれまで理論化されてきた概念との関連wを考慮することによってより普遍的な理論化が得られることなどが共通了解として得られた. 今後はこれまでの議論を踏まえた論文集の出版を目指すこととした.
|