2015 Fiscal Year Research-status Report
言語普遍的オノマトペをつくるには:音象徴の言語普遍性と言語固有性
Project/Area Number |
26580078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60255601)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心理言語学 / 音象徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大人に対し、「動き」と「音」の評価に関する調査について予備実験を進め、提示刺激の調整と実験装置の準備も行った。また、コーパスデータよりオノマトペ表現を抜き出し、発話する幼児の月齢とオノマトペ表現の品詞との間の関係を分析した。 並行して乳児の音象徴性理解の萌芽がどのぐらいの月齢にまで遡るのか調べるべく、生後6カ月児を対象に脳波測定研究を実施した。具体的には、音象徴的に適合した新奇語と図形の組み合わせ(例:「きぴ」+尖った図形)を提示した場合と、不適合な組み合わせ(例:「きぴ」+丸みを帯びた図形)を提示した場合の生後6カ月児の反応の違い(すなわち音象徴への感受性)を脳波測定により調べた(11ヶ月児を対象にした調査は既にAsano, Imai, Kita, Kitajo, Okada, & Thierry, 2015などにて報告済みである)。5名(男児2名、女児3名)に対し行った本年度の調査と昨年度に行った事前調査の結果とを合わせ、事象関連電位(ERP)、振幅変化、位相同期の三つの観点から解析を進めている。ERPの結果からは、生後6カ月の時点ですでに音象徴への感受性が存在すること、そしてこの6カ月児の反応には、同様の刺激に対する11カ月児の反応(Asano, et al., 2015)と共通の部分と、異なる部分の両方が含まれている可能性が明らかになった。振幅変化や位相同期解析の結果が揃い次第、総合的に考察し、論文執筆に取りかかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ただし、継続して調査を進めるため、期間延長の申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
期間延長の申請を行い、本年度の大人に関する調査に加え、翌28年度は子どもについても調査・分析を行う予定であり、継続して調査を進めるため、本年度は旅費を節約した。
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Causes of Carryover |
継続して調査を進めるため、期間延長の申請を行い、子どもの使用するオノマトペについても追加調査をするために、費用が必要となるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査実施のための実験補助のため、およびデータの分析補助のための費用として使用予定である。
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Remarks |
『英語教育』連載 2015 年4月号~2016年3月号 「ことばを学ぶメカニズム」第1回~第12回
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