2014 Fiscal Year Research-status Report
経験的データに基づく主格・対格目的語の作用域と情報構造・韻律の研究
Project/Area Number |
26580081
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
野村 昌司 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (60410619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 義和 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (40466644)
南部 智史 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 時空間変異研究系, プロジェクト非常勤研究員 (40649000)
ホワン ヒョンギョン 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・構造研究系, プロジェクトPDフェロー (80704858)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 主格目的語 / 対格目的語 / 作用域 / 情報構造 / 韻律 / 日本語 / 韓国語 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、9月と11月に打ち合わせをし、研究代表者・分担者間の当該現象に関する知識の共有と分析手法等について具体的な議論を行った。 理論構築を主な役割とする研究代表者は、Chomsky (2014)が新しい理論的枠組みを提案したため、その新しく提案された理論的枠組みの理解に努め、On Recent Developments in Minimalist Inquiriesという演題で9月に慶應義塾大学の北原久嗣氏と共に慶應言語学コロキアムにて発表した。11月に開催された日本英語学会のシンポジウムでは、Unvalued features and phase domainsという演題での発表の中で、Chomsky (2014)の枠組みにおいて、日本語のガ格目的語・ヲ格目的語がどのように生成されるのか、またガ格とヲ格の交代がどのように起こるのかについて1つの可能性を示した。更に進めた研究成果は平成27年5月に日本英文学会で発表予定である。 研究分担者の南部智史氏とホワン・ヒョンギョン氏は、共同で、韓国にて韓国語の当該現象の音声実験を行ない、結果を統計的観点から分析した。実験のデザイン改善および理論構築のためのデータ収集を目的として、研究分担者の南部智史氏は佐野真一郎氏(岡山県立大学准教授)と共同で「日本語話し言葉コーパス」および「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を用いたコーパス分析を行ない、統計的観点から当該現象の使用における一般的傾向の抽出を行なった。分析結果は平成27年度に日本言語学会で発表予定である。 研究分担者の大島義和氏は、ガ格目的語・ヲ格目的語を含む補部(主語や場所副詞句など)全般と、述語に含まれる演算子 (否定、可能表現など)との作用域関係に関わる先行研究のレビューを行い、助詞の種類・生起位置が名詞句の作用域に及ぼす影響についての記述的一般化に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論構築に関しては、新しい枠組みへ変更となったことにより、検討すべき課題が多数出てきた。また韓国語の音声実験の結果は日本語と異なったが、その原因として実験の方法論に問題があった可能性がある。そのため、当該現象の一般的特徴を抽出するためにコーパスを用いた分析を追加で行なう必要があった。今後韓国語に関しては扱う方言によって音声的特徴が異なることも考慮に入れて再度実験を行なうことを検討している。当該現象の作用域の解釈には多くの文脈的要因が関わり、容認度に関するデータ収集を行うにあたって検討すべき課題が多数あり、当初の予定よりも研究時間を割くこととなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に行なった韓国語音声実験の結果を受けて、今後は当該現象の一般的特徴を精査するとともにその統語構造を追究する。そのために、平成26年度に開始したコーパスを用いた研究を進めながら、まずは当現象に関わる条件・要因を明確にすることで、実験デザインに関わる理論的背景を整理する。その後、特に統語構造および韻律・情報構造の解明に関わる特徴を抽出することを主眼として実験デザインの改善を行なう。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に研究代表者が購入予定であったノート型パソコンの購入を平成27年度に購入に変更したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の予算と合わせノート型パソコンを購入し、使用する。ノート型パソコンは平成27年5月現在ですでに発注済みである。
|
Research Products
(3 results)