2016 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical study on the nominative/accusative objects in terms of their domains, information structures, and intonations
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26580081
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
野村 昌司 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (60410619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 義和 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (40466644)
南部 智史 津田塾大学, 学芸学部, 研究員 (40649000)
ホワン ヒョンギョン 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (80704858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 主格・対格目的語 / 統語論 / 音声知覚実験 / 容認度判断実験 / コーパス / 情報構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である28年度は前年度に引き続き国際雑誌への論文投稿に向けた執筆作業を中心に行った。また、新たに必要と判明したデータを得るために音声知覚実験を行い、その分析結果を加える形で最終的に論文を完成させ雑誌へ投稿することができた。 研究打ち合わせは、実験デザイン及び実施に関する情報共有のため実験担当のホワン・ヒョンギョン氏と南部智史氏で行い、その他研究者間の連絡事項はメールで行った。音声知覚実験は事前に録音した日本語の容認度を被験者に判断してもらう形で行った。実験実施に関しては、まずホワン・ヒョンギョン氏が実験を行い、その結果を受けて再度南部智史氏が実施した。 本研究課題で扱う主格・対格目的語はこれまで統語論の分野を中心として多くの理論的アプローチが展開される背景の中で、今回の試みでは経験的観点から文の情報構造が目的語に付く主格・対格の選択もしくはそれを反映した容認度判断に影響を与える、という新しい知見を既存の理論的解釈に加えることができた。実験では文の情報構造をコンテクストから与える手法とコンテクストの中で表出する韻律的特徴を知覚実験として利用する手法の2種類を用いることで、実験結果により説得力を持たせることができた。また、この結果は当該現象のみでなく、日本語の情報構造全般に関する理解にも貢献している。具体的には、今回の実験結果により、助詞「が」が情報構造的焦点を表示するはたらきを担い、またそれと対比する形で「は」が必ずしも主題を示すのではなく単に情報の既知性を示す場合がある、という説に対する新たなエビデンスが得られた。また、以上のことは統語理論において構造上の主格目的語と対格目的語の位置を明確にする際にも一つの指針として今後役立つことが期待される。
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Research Products
(3 results)