2016 Fiscal Year Annual Research Report
Language usage of residents in Hansen's disease sanatoriums
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26580085
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Research Institution | Sanyo Gakuen University |
Principal Investigator |
山根 智恵 山陽学園大学, 総合人間学部, 教授(移行) (60269983)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 岡山方言 / 関西方言 / 言語接触 / 方言受容 / 隔離 / 解放 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、長島愛生園と邑久光明園で実施した岡山方言アンケート(各18名。①使う、②聞いたことがある、③使わないし聞いたこともない、の3択。20項目について調査)の結果をまとめ、日本語学会で発表した。さらに収集した談話を分析したものを、2017年8月に国際学会で発表できることになった(愛生園13談話。光明園16談話)。アンケートと談話分析の現時点での結果は、以下の6点にまとめられる(一部昨年度の「研究実績の概要」と重複する)。 (1)岡山出身の女性を除き、岡山方言を使用すると回答した入所者は皆無だった。実際の発話にも、岡山方言はほとんど現れなかった。(2)一部の語彙(例:「でーれー」「ぼっけー」)を除き、発話末表現(例:「~じゃ」「~れー」)より語彙(例:「かなぐる」「とらげる」)の理解度のほうが低かった。(3)関西出身者の比率が高い光明園のほうが、岡山方言の認知度が低かった。これは園内での関西方言の使用度が高いためではないかと思われる。(4)否定的な意味を持つ方言語彙の認知度が高かった。(5)岡山県に近い地域出身の入所者の岡山方言認知度が高かった。(6)談話分析の結果、すべての談話を共通語で話している入所者はいなかった。愛生園では関西方言を話す関西出身の入所者と、岡山方言を含めていくつかの方言を混在させて話す入所者が見られた(入所者はこういった言語使用を「愛生弁」と呼んでいた)。一方光明園ではほとんどの入所者が関西方言を使用していた。 また、園誌『愛生』の分析(1966年~85年)から、岡山県からの訪問者が最も多く、続いて関西地方からの訪問者が多いことはこれまでと同様だったが、全体の訪問者数が増加していることも見て取れた。この時期、里帰りを含め療養所の外に出る機会が増えたことも窺え、ここから入所者が様々な方言を聞く機会を得ていたことが推察された。
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Remarks |
『山陽論叢』第23巻 http://www.sguc.ac.jp/library/books?tid=1676
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Research Products
(3 results)