2016 Fiscal Year Annual Research Report
Possibilities of Multidominance Structures in Generative Grammar
Project/Area Number |
26580086
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊島 孝之 九州工業大学, 教養教育院, 教授 (40311857)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言語学 / 生成文法 / 極小主義 / 統語構造 / 多重支配 / 線状化 / 併合操作 / 投射ラベル |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題の最終年度となる平成28年度は、多重支配構造の音形的線状化について理論的研究を行う予定であったが、裸句構造のラベル決定について問題提起 (Chomsky 2015) が前年度に刊行されたため、これまでの研究成果の拠り所としていた一般的な木構造での音形的線状化について理論的問題の検証を行った。 Chomsky(2015)では句構造の内芯性に関する規約が破棄され、投射ラベルは併合操作により新たな統語体が構築される派生過程で決定される。ラベル付与アルゴリズムにより併合対象の主要部が構築された統語体のラベルとして付与される。一方、併合対象のいずれも主要部でない場合、もしくは両方とも主要部である場合には、両者間の一致素性、もしくは強素性を持つ主要部がラベルとなる。 これまでの裸句構造でのラベルと異なるのは、一致素性や強素性を持つ主要部がラベルとなる場合であるが、いずれも音形を持つとは考えられないため、これまで当該研究の拠り所としていたグラフ理論に基づく木構造走査アルゴリズムによる裸句構造の音形的線状化に対しても特に問題とならないことが判明した。 この成果については、研究発表の[学会発表]の項に記載した通り、日本英語学会第34回大会において公表した。 Chomsky(2015)では多重支配構造に対して否定的な見解が示されているが、移動に関する複写理論を仮定しなければ、現状では多重支配構造は理論的帰結として排除する原理はなく、省略/削除現象における照応方向と移動の顕在/潜在性に相関があり、言語ごとに基本語順に応じてパラメター化が可能であるなど経験的にも支持されることを補助事業期間全体を通じて示すことができた点は重要であり意義がある。
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Research Products
(1 results)