2015 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション文体論の学術的意義とその教育性・社会性・国際性に関する研究
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26580087
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
寺西 雅之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90321497)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文体論 / コミュニケーション / 英語教育 / 翻訳 / 文学テクスト / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Stylistic Approaches to Translation(J. Boase-Beier, 2006)、The Routledge Handbook of Stylistics (M. Burke編著、2014)、The Cambridge Handbook of Stylistics (P. Stockwell、S. Whiteley編著、2015)等本研究の基盤となる文体・コミュニケーション論の重要文献を精読・再読し、当該分野の知識・応用例に関するアップデートを行った。それと並行して、テクストの収集および文体分析も行い、本研究テーマに基づいた成果の発表を、著書・論文・口頭発表の形で行った。 まず著書としては、Literature and Language Learning in the EFL Classroom(M. Teranishi, Y. Saito, K. Wales編著、2015)とScientific Approaches to Literature in Learning Environments(M. Burke, O. Fialho, S. Zyngier編著、2016)が、それぞれイギリスの出版社Palgrave Mamillanとオランダの出版社John Benjaminsより出版された。これらの業績は、文体論を文学・語学教育に援用した最新の研究である。また、論文「A Stylistic Analysis of Herzog: A Mode of ‘Postmodern Polyphony’」が掲載される著書Stylistics (Critical Concepts in Linguistics)(M. Burke編、2016)がイギリスの出版社Routledgeより本年9月に出版される。さらに、2015年7月にケント大学で行われた国際文体論学会国際大会では、「Stylistics and translation in the EFL Classroom」というタイトルで、翻訳における文体論の役割に関して論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、これまで古典的な文学作品を主対象としてきた文体研究を、日常言語が主対象であるコミュニケーション研究・教育に援用することにより、コミュニケーションのメカニズムへの理解を深め、さらに外国語およびコミュニケーション力育成に関する教育的示唆を得ることを目的としている。上記の「研究業績の概要」でも示したとおり、本年度は当該分野の専門的知識を深めるとともに、文体論・コミュニケーション学の理論を用いた事例研究を多く実施し、その成果を発表できている。特に、Palgrave Macmillan、John Benjamins、Routledgeといった海外の著名な出版社から、自身の研究成果を著書の形で発表できたことは、極めて大きい。この点において、本研究は順調に進展していると判断している。 マイナス点としては、日常言語のデータの収集が当初予想していた以上に時間がかかってしまい、その分析・考察が若干遅れたことが挙げられる。今後はプライバシーの問題に配慮し、できるだけ多くの言語データを収集し、文体論・コミュニケーション学的観点から分析できるように努力する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を進めていくにあたり、まずは当該分野の専門家である斎藤兆史氏(東京大学大学院教授)、堀正広(熊本学園大学教授)、奥田恭士(兵庫県立大学教授)、Michael Burke(Utrecht大学教授)、北和丈(東京理科大学講師)等と意見交換を行い、本研究に関する示唆を得たいと考えている。 平成28年度は言語データの収集は継続するが、特に英語を専門とする研究協力者や海外在住の研究協力者の協力を得ながら、これまでの研究ではカバーされていなかった日常の言語を収集していきたい。収集されたデータに関しては、意志・情報伝達上の効果と説得力という観点から文体論的分析を行い、言語教育上の示唆を得る。 平成28年度には、研究成果を発表し、各専門家および社会よりフィードバックを求めていく。具体的には、文体・コミュニケーションおよび言語・外国語教育に関する論考は、国際文体論学会と日本英文学会にて発表を行う。また、研究代表者が特使(PALA Ambassador)を努めている国際文体論学会では、日本支部(PALA Japan)の活動を活性化させ、本研究の成果を積極的に発表していきたい。 一方、国際理解に関わる発表は、研究代表者が会長を務めている日本国際教養学会など、国際理解と学際的な研究を専門とする学会において発表を行いたい。また本研究の研究活動と成果に関しては、ホームページを通じて開示し、本研究グループ以外の研究者や広く社会からフィードバックを得たうえで、本研究活動に反映したいと考えている。さらに本研究の着想から手法、実施、そして成果をまとめる論文・研究書を英語で執筆し、世界に向けて発信したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究に必要な物品であるビデオカメラ、ICレコーダー、記録メディアなどが、予想よりも安価であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は海外も含めて成果発表を積極的に行うため、その旅費等に今年度発生した次年度使用額を利用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Book] Scientific Approaches to Literature in Learning Environments2016
Author(s)
M. Burke, O. Fialho, S. Zyngier, D. S. Miall, F. Hakemulder, E. Koopman, M. P. Bal, S. C. CHard, D. Peplow, O. Vassallo, A. Chesnokova, S. Liu, Z. Zhang, C. Zhang, T. Nishihara, M. Teranishi, M. Nasu, T. Janssen, M. Braaksma, D. I. Hanauer, F. Y. Liao, V. Sotirova, M. Mahlberg, P. Stockwell, V. Viana
Total Pages
326(167-187)
Publisher
John Benjamins
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