2014 Fiscal Year Research-status Report
初期近代英語における動詞の命題補部についての定量言語学的アプローチによる研究
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26580089
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Research Institution | Kyushu Institute of Information Sciences |
Principal Investigator |
藤内 響子 九州情報大学, 経営情報学部, 准教授 (40270128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 英語学 / 初期近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、定量言語学的アプローチを用いて、現代英語の他動詞のうち、①enjoyのように動名詞を目的語として取るが不定詞を目的語にすることが出来ない動詞、②decideのように不定詞を目的語として取るが動名詞を目的語には出来ない動詞、③rememberのように目的語が動名詞の場合と不定詞の場合とでは意味が異なる動詞、④beginのように目的語として動名詞でも不定詞でもどちらでも取れる動詞について、不定詞の名詞的用法と動名詞およびthat節が、動詞の命題補部として、どのような競合関係にあったのか、初期近代英語の文献をもとに調べようとするものである。 26年度は、先ず研究に必要なコンピューター機器類、コーパス、分析用ソフトを揃え、定量言語学的なアプローチのための準備を行った。次に、現代英語との連続性を考えるために、英語の動詞がその補部に命題を選択する場合の、伝統文法および各文法理論における統語的事実の記述と分析の比較を行った。比較の対象としたのは、JespersenやCurme等の伝統文法、Bloomfield、Friesら構造主義言語学、直接構成素分析、Chomskyによる生成文法(句構造規則、X-bar理論、θ理論および格理論、DP分析、極小主義)などである。その結果、どの分野においても分析の際に構造と意味を明確に分けており、語用の立場では異なるものとして理解される場合がある、to不定詞や動名詞の明確な違いの動機を現在の英語学のアプローチでは十全に書き表すことが出来ないということがわかった。 現在は、動詞の命題補部としてのthat節、to不定詞、動名詞が中英語ではどのような関係であったのかについて、中英語の先行研究を調べながら、実際のコーパス分析に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画として、26年度は主としてコーパス、電子テキストおよび分析用ソフトの準備、中英語までの先行研究の確認ののち、実際の統計的な調査に取り掛かる予定であった。それぞれ、ほぼ予定通り進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は主に、それぞれの動詞、および動詞的表現形式が、初期近代英語において、どのような振る舞いをしているのか統計的に調査を進めたい。通時的に考えて、時系列の変化が見て取れるのかどうか分析し、中英語期の先行研究も踏まえながら、調査対象の動詞が、どのような歴史的変遷を辿りながらそれぞれの表現形式を発達させてきたのか明らかにしたい。その調査を通して、現代英語の中で性質の異なる①~④のタイプに属する動詞群が、それぞれのタイプ毎に同じような歴史的変遷を辿って今に至るのか、または、現在同じタイプに属する動詞の中にも、更に異なる変遷を辿ったものがあるのかを確認するつもりである。 さらに、通時的な調査結果と現代英語における補文の理論的分析を考え合わせ、それぞれの構造的な特徴を再分析可能か、その結果、教育指導の際に、英語の文構造について、学生の、より効率の良い習得・理解に結びつけることは可能であるか、その可能性を探るための作業を行うつもりである。
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Causes of Carryover |
26年度予定の出張が、27年度に入ってから生じたことと、データ整理のためのアルバイトの使用が27年度にずれ込んでいることが主な理由です。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の使用は当初の計画通り、26年度からずれ込んだ予定も加えて予算の使用を行います。
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Research Products
(1 results)