2015 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代英語における動詞の命題補部についての定量言語学的アプローチによる研究
Project/Area Number |
26580089
|
Research Institution | Kyushu Institute of Information Sciences |
Principal Investigator |
藤内 響子 九州情報大学, 経営情報学部, 准教授 (40270128)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 定量言語学 / 不定詞補部 / 動名詞補部 / 大補文推移 |
Outline of Annual Research Achievements |
初期近代英語期は、現代に繋がるさまざまな用法が確立していく時代であり、また、アメリカ英語とイギリス英語の分岐点でもある。従って、この時代の理解を深めれば、現代英語をより深く理解することに繋がるはずであるが、全体的な総合的研究については、まだ未解明な部分が数多く残されている。 例えば、中英語の終わりから初期近代英語にかけて、that節を従えていた多くの動詞が、不定詞や動名詞も従える方向に次第に変化した。いわゆるRohdenburgのいう5種類のthe Great Complement Shift(大補文推移)の一つであるが、このようなshiftの詳細な過程はまだ明らかにされていない。 動詞の補文の構造や意味を明らかにする事は、その動詞の一般的な性質を解明することにつながり、その歴史的変遷をたどることは、文法研究にとって重要な課題の一つであると思われる。そこで本研究においては、特に不定詞の名詞的用法と動名詞およびthat節が、動詞の命題補部として、どのような競合関係にあったのか、初期近代英語の文献をもとに定量言語学的に調査を行った。 調査に用いたコーパスは、1500年から1710年までの様々なジャンルのテキストを含んでいる、Penn-Helsinki Parsed Corpus of Early Modern English(PPCEME)であり、CorpusSearch2、AntConc 3.2.1wを分析ソフトとして使用した。現代英語において目的語に動名詞や不定詞をとる77の動詞を大きく4種類に分類し、その分類に沿ってそれぞれの動詞が初期近代英語においてどのような振る舞いをしているのか統計的に調査を進めた結果、カテゴリー毎に異なる発達過程が観察され、現在の用法の差に繋がる可能性を示唆する結果を得ることが出来た。
|
Research Products
(4 results)