2015 Fiscal Year Annual Research Report
参加者の言語的文化的多様性を前提とした共同授業に関する縦断的研究
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26580091
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉野 文 千葉大学, 国際教育センター, 准教授 (10261885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西住 奏子 千葉大学, 国際教育センター, 講師 (40554176)
和田 健 千葉大学, 国際教育センター, 准教授 (20292485)
小林 聡子 千葉大学, 国際教育センター, 特任助教 (90737701)
GAITANIDIS IOA 千葉大学, 国際教育センター, 特任助教 (90715856)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 協働学習 / 座談 / 対話 / 二言語併用 / 異文化間コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、参加者の言語的文化的多様性を前提として行われる授業のうち、日本文化・日本社会を題材とする大学学部レベルの教養科目を取り上げ、教員による場の構築、参加者の認知的変容、関係構築のプロセスを明らかにすることを目的として行ったものである。 初年度は、日本語のみで行う授業1科目、日本語・英語の二言語を併用する授業(複言語使用場面)3科目を対象とし、各授業で複数回グループ活動の談話を録音・録画し、文字化を行うとともに、学生の産出する書記資料、フォローアップインタビューをデータとして収集した。また、アクティブラーニング、協働学習(協調学習、協同学習)の先行研究にも当たり、分析の枠組み、研究の対象とする実践の位置づけを検討した。 最終年度は、初年度に収集したデータをもとにそれぞれの授業ごとの分析を進めるとともに、総合的な考察を行い、以下のような成果を得た。 まず、授業担当教員は、授業の目的、具体的内容に合致するグループ活動(座談、協働論証、グループプレゼンテーション)を協働学習として授業計画に組み込むとともに、当該授業の参加者に合わせて使用言語、教材、指示の調整を図っていた。それぞれの活動における談話の様相は異なるものの、学生が、授業のテーマ、他者、自分自身に対する多様な視点に気づいていく、学びの過程(認知的変容)を確認することができた。また、特に二言語併用の協働学習においては、言語的マイノリティの経験を通して、対等に参加できない葛藤を各々が経験し、そこから多角的な視点を獲得できる可能性を指摘することができた。 本研究の意義は、グローバル人材育成が急務となっている大学教育において参加者の言語的文化的多様性を前提とした協働授業を取り入れる意義と課題を明らかにした点にある。内容、使用言語の異なる授業を精緻に分析した点で、また、その方法を詳しく論じた点でもその重要性は大きい。
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Research Products
(6 results)