2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本語語彙知識における漢字読み能力の重要性の研究 オンラインテスト応用を目指して
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26580095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斉藤 信浩 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20600125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大神 智春 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50403928)
大和 祐子 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80707448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 漢字力 / 語彙力 / テスト形式 / 用法 / コロケーション / 選択肢 / 漢字圏学習者 / 非漢字圏学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
漢字圏学習者と非漢字圏学習者の漢字能力を測定するために、80名の日本語学習者を対象に、紙形式のテストによる(1)から(4)の四種類の調査を行った。(1)四肢選択の選択肢の種別を四種から選択する設問形式(生卵、生糸、生活、生涯)と二種から選択する設問形式(合図、合同、合格、合計)の二種類の下位項目から調査を行った。その結果、得点にはレベル差も母語差もなく、選択肢の種別は関係がないことがわかった。(2)語彙能力を測定するための四択式の括弧穴埋め問題は、下位群では漢字圏<非漢字圏となり、差が見られたが、中位群以上では母語間による得点差が見られなかった。このことはある一定の能力値に達すると、語彙の識別という範疇では、非漢字圏の学習者の語彙力は漢字圏に追いつくということを示している。(3)文章の括弧の空欄に適切な語彙を入れる用法選択の問題は学習者の語彙力を測定するものである。問題形式は漢字によるヒントが生じないよう、努めてひらがな表記を優先した。その結果、得点は母語差はなく、レベル差が下位群<中位群<上位群、と推移しており、漢字によるヒントが除外された条件下では、適切な用法の判断は母語差よりもレベル差が有効であることが分かった。(4)コロケーションの設問は大きく二種類に分かれており、1つは適切語を選択するものである。もう1つは不適切語を選択するものである。これらの比較の結果、上位群では適切語<不適切語となり、不適切語を選択する能力が高かったが、それ以下のレベルでは差が見られなかった。また母語間の差は見られなかった。上記の4つのテストに加えて、90問からなりる漢字筆記テストを行った結果、どのレベルでも漢字圏が非漢字圏よりも高い得点を得ていることが分かった。総合すると、漢字力は、読みと筆記の能力に限定され、語彙力は影響がなく、また語彙力自体は母語間に差がないということが観察された。
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