2014 Fiscal Year Research-status Report
「教室文化論」に基づく教師養成活動の教育実践モデルとデータベースの構築
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26580098
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
塩谷 奈緒子 東京電機大学, 理工学部, 講師 (10409766)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教室文化 / 対話 / 日本語教師養成 / 教師論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「教室文化論」(塩谷 2008)を基に設計、実施される日本語教師養成クラスの実践データのデータベース化と教育実践モデルの構築を試みるものである。具体的には、教室参加者(現職の教師・教師候補生)が教室における他者との対話的な語り合いを通し、自らの日本語教育観や教育理念を明らかにしていく教育実践の(1)教室対話データベースを作成し、(2)それを実践研究(対話・教室研究)データとして質的に分析し、①教室で語られる教師達の言語・文化・社会観や日本語教育観、②そうした語り合いを生み出す教室対話過程・教室構造・教師の役割について明らかにする。そして、(3)本活動の教育実践モデルを構築し、他実践・研究者との共有、議論を図ることを目的とする。
平成27年度の研究実績としては、まず、上記(1)については、研究代表者が過去に実践した日本語教師養成クラスの教室対話録音データの整理と一次分析を行い、本研究において研究対象とするクラスを選定し、その録音記録の文字化を専門業者に依頼し、教室対話の電子データ化を行った。また、同時に、同じコンセプトのもとで新しく教育実践を行い、新しい教室対話データを録音・収集した。そして、上記(2)と(3)については、教室データの文字化が終了したクラスを、上記(2)①、②の視点から分析した。加えて、本研究の理論的側面を強化するための先行文献の研究(教師論・教師養成理論、教室文化論、実践研究論、質的研究法論等)を実施し、以上の途中成果を論文として発表した。
塩谷奈緒子(2008)『教室文化と日本語教育―学習者と作る対話の教室と教師の役割』明石書店.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の予定では、まず、平成26年度前期を実践研究データの選定・収集・一次分析期とみなし、(1)調査対象(対象機関と対象授業)の検討・選定と調査実施のための準備を整えることを目標としていたが、目標通り、「教室文化論」を基に展開した2つの日本語教師養成クラスの教室対話データの文字化を終了した。また、平成26年度後期の目標は、(2)本研究に関する文献調査 (3)文字化の終了した過去の教育実践データの整理と分析 (4)それまでの研究成果を生かした新たな教育実践の実施とデータ収集 であったが、これらについてもおおむね計画通りに進展し、その中間報告を論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に行った研究をベースとし、平成27年度には、「教室文化論」を基にした日本語教室対話データベースの完成とそのデータを用いた実践研究、そして、最終的には、「教室文化論」を基にした日本語教師養成モデルの構築を目指す。まず、平成27年度前期には、引き続き先行文献の理論研究を行い、平成26年度以降に実施した新たな教育実践の教室対話記録の選定と文字化を行い、教室対話データベースを完成させる。また、平成27年度後期には、データベースをもとに、教室実践モデルの最終版を構築し、教室で語り合われる教師達の言語・文化・社会観や日本語教育観、そのような語りを生み出す教室対話過程・教室構造・教師の役割についての実践研究を行い、その研究成果を学会・論文・ホームページ等で公開したい。
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Causes of Carryover |
担当授業の予定に変更があり、平成27年度前期に新たな教育実践を行うこととなり、本研究のこれまでの研究成果を反映させて新たな教育実践を行った。この教育実践の音声データの文字化費用にあてるため、次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度と平成27年度に新たに収集した教室対話データの中から、文字化・データベース化する教室活動を選定し、その文字化(テープ起こし)費用として、平成27年度に請求した助成金の一部と合わせ、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)