2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the methods of topological spatial analysis for developing Historical GIS
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26580141
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥貫 圭一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (90272369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,歴史学へのGISへの応用性を拡張することを基本的目的としながら,空間解析の新たな手法を探ることを目指してきた。平成29年度は,これまで続けてきた研究の成果を公に発表すること,さらに,この研究を通してヒントが得られた空間的近傍解析の都市・地域分析への応用についてさらなる展開をはかった。成果の発表としては,地理情報システム学会にて「ネットワークに着目した近世城下町の空間分析」(児玉・奥貫,2017)や,「歴史GIS研究のためのグラフ空間分析ツール開発」(奥貫・佐藤,2018)などで報告した。これらの研究でのカギとなる考え方は,絵図や古地図といった位置情報が必ずしも正確でない史料から,いかに過去を推論するかということである。位置情報が正確でなくても,たとえば,村と村の位置関係や,町と町との位置関係は知ることができる(たとえば,A町とB町とが道路を隔てて隣り合う位置関係であった,といったこと)。そうした位置関係を手がかりに,たった1枚の絵図からでも,都市の変遷を推論することができると示した。それらの成果は,年度がかわってしまうものの,今後,国際学会でも公表していく予定である。 一方の応用研究については,主として都市計画における地域診断の際に,物的環境を測る指標として用いられてきた建ぺい率の問題点を指摘しつつ,その問題を克服する「建物周り建ぺい率」の考え方を提案し,さらに,これを展開させながら,都市における密集が問題となっている地区を抽出する方法を考案した。その成果は,都市計画学会にて「建物周り建ぺい率による密集領域の抽出~基盤地図情報を活用して」(奥貫,2017)として発表した。昨年度の実績報告でも触れた通り,この研究は,現代を分析するためのヒントを歴史分析から得られた例として貴重であると考えている。
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Research Products
(2 results)