2014 Fiscal Year Research-status Report
人類学におけるフォト・エスノグラフィーの手法の探求
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26580154
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
岩谷 洋史 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 外来研究員 (00508872)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エスノグラフィー / デジタル化時代 / デジタル写真 / フォト・エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)国内外の関連研究資料の収集と研究者間でのネットワークの拡大:国内外の関連資料収集と同時に、国内の文化人類学者だけでなく、隣接分野(社会学)や関係する分野(情報学)の研究者との連携を作り、各分野の研究者が研究協力者として本研究を支援する基盤を作った。 (2)調査実習授業での展開:研究協力者の協力を得て、学部生・大学院生向けの調査実習で、フォト・エスノグラフィーの手法を採用した実践を展開した。研究代表者は、その実践をモニタリングすることで、モデル化のための知見を得た。 (3)研究会・ミーティングの開催:研究協力者全員を集めた全体研究会は、1回(2014年7月14日)のみの開催に留まったが、研究代表者は、各研究協力者と個別のミーティングで対応しながら、意見交換をしつつ、本研究の進捗情報の共有をはかり、フォト・エスノグラフィーの理論的な探求を行った。 (4)静止画像管理システムの設計:フォト・エスノグラフィーをコンピュータシステム上で実現できる仕組みを設計する活動については、情報学を専門とする研究協力者の協力を得ることができ、本格的なシステム設計に関しては、2014年度の調査実習での研究成果をもとにして進める計画を立てた。 (5)研究成果の公表:本研究成果公表のためにWEBサイト(http://www.photoethnography.sakura.ne.jp/)を作成し、このWEBサイトに連携する形で、(2)での個別の調査実習用WEBサイトを作成し、調査実習の成果を掲載した。また、研究協力者の一人が担当する授業に関しては、2014年度調査報告書を刊行する準備を行った。さらに、研究代表者は、2015年度の日本文化人類学会第49回研究大会、関西社会学会第66回大会にて、(2)での成果をもとに単独で口頭発表する予定で準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)海外の先行する研究を行う研究者との具体的な連携については、今後の課題であるものの、初年度は、当初の計画以上に国内の研究者(文化人類学以外の社会学などの隣接分野の研究者も含めて)との連携を全体研究会の開催、および研究代表者との個別の情報交換を通じて、得ることができ、本研究を推進させる基盤を整えることができた。 (2)複数の研究協力者の協力を得て、学部・大学院向け調査実習にて、フォト・エスノグラフィーの実践を行うことができた。その結果、フォト・エスノグラフィーに関わる多くの知見を得ることができた。これによって、フォト・エスノグラフィーの定義を考察し、理論的な深化を進め、さらにはモデル化するための端緒が開けた。 (3)フォト・エスノグラフィーをコンピュータシステム上で実現する仕組みの設計については、これまでの研究代表者の研究成果を発展させる形で、上記(2)での調査実習での成果をもとにして次年度で具体的に進める計画を立てることができた。 (4)研究成果を国内の学会にて発表する予定だけでなく、上記(2)での調査実習の成果の一部として調査報告書『フォト・エスノグラフィーの社会学』(石田佐恵子・岩谷洋史編)を発行する準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者らとの連携をしつつ、以下の項目の推進方策を立て、柔軟に対応しつつ、研究活動を推進する。 (1) 引き続き、研究協力者らとともに、フォト・エスノグラフィーの手法を採用した学部生・大学院生向けの調査授業を行い、その教育効果を検証するだけでなく、フォト・エスノグラフィーの理論的深化を図っていく。 (2) フォト・エスノグラフィーをオンラインで実現するシステムを開発することを目的とする。 (3) フォト・エスノグラフィーのモデル化を図る一方で、WEBサイト(http://www.photoethnography.sakura.ne.jp/)での情報公開しつつ、研究成果を国内外の学会での発表、論文執筆、報告書発行(図書出版も含めて)を通じて積極的に公表する。
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Causes of Carryover |
(1)研究を推進するために、海外在住の関連する先行研究を行っている研究者との連携を図るべく、研究代表者、および研究協力者が出張する予定であったが、該当する研究者との時間調整が難しく、次年度において実行する計画に変更せざるを得なかった。(2)研究活動を推進する過程にて、当初予定していた研究成果の公表を国内の学会だけでなく、海外での国際学会にて発表する機会を得ることができた。次年度にてそれを実行するための旅費を確保するために次年度使用額が生じた。(3)当該年度の研究成果の一部を報告書として、年度内に発行する予定であったが、発行の遅れのため、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)遅れている研究成果の一部を報告書として発行する計画を早々に実現する。(2)海外在住の本研究に関連する研究者と再度の調整をおこない、研究協力者の協力を得つつ、研究代表者が連携を推進していく。(3)海外での学会での本研究で得られた研究成果を報告する。既に研究代表者は、該当する学会でのエントリーを行っている。
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