2015 Fiscal Year Research-status Report
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26590003
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
瀧井 一博 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (80273514)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 渡邉洪基 / 帝国大学 / 知識国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
知識国家論の理論的構築に向けて、ハーバード大学で行われたシンポジウム「失われた20年と日本社会の変容」において、「Japanese Society as a Place for Knowledge Creation and Cooperation」と題した研究報告を行い、また、「20世紀と日本」研究会において、「日本文明論の課題―知識国家論の課題―」と題して報告した。両者はともに知識国家論の理論化へ向けた序論的考察であり、そこで受けた批判やレスポンスは、さらなる理論的肉づけにあたって大いに有益なものであり、現在その作業を進めている。また、知識国家の歴史的先駆形態を掘り起こす作業として、帝国大学の初代総長であった渡邉洪基の評伝的研究を進めていたが、それを完成させることができ、現在、ミネルヴァ書房から刊行するべく編集作業が進展中である。また、ドイツのNomos社から刊行される予定の研究論集『Staatsverstaendnisse in Japan(近代日本の国家観)』については、出版社との各種折衝が難航していたが、その後は出版に向けて前進している。この論集においては、戦後における日本の立憲国家としての特質と特異性を論じ、将来的な展望として知識の循環を可能とするフォーラムとしての国家について理論的提言を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトのひとつの大きな課題であった帝国大学初代総長渡邉洪基の研究を単著として刊行する目途がついた。すでに脱稿し、出版社も確定しており、今年度中に発表できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
知識国家論の歴史的系譜を探求する作業は、幕末維新期にまでさかのぼり、特に大久保利通や岩倉具視の関係資料を精査しながら進めていく。また、その現代的意義の抽出のために、最新の知識論や国家論の吸収に努め、理論体系の枠組みの提示に向けて研究を行う。
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Causes of Carryover |
前年度は研究のために必要な資料の入手を心がけた。他方で、その整理のために予定していた人員を使っての作業は2016年度に持ち越されることになった。そのために、謝金額が生じず、次年度に持ち越されることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な資料の入手については、あらかた目途がついたので、今後はその整理と研究成果公開のための作業を行う。その支援のためのアルバイトを使うので、謝金にまとまった額を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)