2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26590027
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山田 克宣 近畿大学, 経済学部, 准教授 (80533603)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクロ経済実験 / 貧困の罠 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度において、実験のベースとなるマクロ成長モデルの選択、実験ソフトの作成、そして経済実験を実施してデータ採取、という一連のプロセスを完遂させた。 まず実験の基礎となるモデルの選択であるが、当初予定していたYamada(2008, JEBO)の研究で描くナッシュ均衡を実験環境で再現させることが非常に困難であることから断念し、申請時に次善の策としてあげていた Capra et al. (2009, Economic Journal)のモデルを採用した。これにより、研究目的であった貧困の罠についてのマクロ経済実験を、簡便版ではあるが実施することができた。 今回の研究ではモデルの選択については最善の結果とはならなかったが、マクロ成長モデルに依拠した経済実験の日本における蓄積が全く存在しなかった過去を鑑みると、確かな成果を残すことができた。まず、申請書に問題点として挙げたように、Capraらの研究はZtreeという専用ソフトを用いた汎用性の低いものであった。一方、今回の研究ではMac PCがあれば誰にでも実験可能なアプリケーションを開発した。経済実験の再現性が世界的に問題となる昨今にあって、これは重要な貢献であり、また実験経済学の発展に寄与するものである。また、通常はこの様なアプリケーションの開発は非常に高価であるが、研究協力者との連携により必要な支出を最低限に抑え、予算範囲内で全ての研究計画を遂行することに成功した。 データの採取は30人を対象に行われた。予定された50人よりは少なくなっているが、実験で得られたデータの傾向を見る限り、30人分のデータで十分強い結果が得られていると思われる。今後はデータの解析をより詳細に行い、国際ジャーナルでの掲載にむけて論文化を進めたい。
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