2014 Fiscal Year Research-status Report
パネルデータを用いた選好パラメターの年齢効果の推定
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26590030
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Research Institution | Kobe International University |
Principal Investigator |
平田 憲司郎 神戸国際大学, 経済学部, 講師 (70423209)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時間割引率 / 行動経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
動学マクロ経済理論や資産価格理論で重要となる時間割引率のパラメターについて,加齢による変化の大きさと,その変化が青年期の環境要因にどの程度の影響を受けているのかを,パネルデータを用いて統計的に分析した. 固定効果モデルを用いて,年齢効果から世代効果を分離して推定をおこなった結果,男性,女性ともに50歳代前半までは時間割引率が低下し,それ以降は上昇することがわかった.さらに,時間割引の金額効果(受け取る金額が大きくなるほど時間割引率が低下する傾向の度合い),符号効果(金銭を受け取るときに用いる時間割引率は,金銭を支払うときに用いる時間割引率を上回る傾向の度合い),双曲効果(直近の時間割引率は遠い将来時点の時間割引率を上回る傾向の度合い)については,男性,女性ともに若年期から中年期にかけて効果が弱まり,中年期から老年期にかけて効果が強まることがわかった. また,時間割引率の年齢効果の度合いは青年期の環境の違いで異なることも明らかになった.具体的には,男性の場合,中学時代の成績が良かったグループでは,若年期から中年期にかけて時間割引率が上昇し,中年期から老年期にかけて時間割引率が低下する一方で,中学時代の成績が良くはなかったグループでは,若年期から中年期にかけて時間割引率は低下し,中年期から老年期にかけて時間割引率が上昇していることがわかった. これらの結果をまとめた英語論文を現在執筆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文に掲載する推定結果はすべて出し終えており,さらに英語論文の執筆にも着手しているから.
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中の英語論文をできるだけ早期に完成させ,書き上げた英語論文をもとに学会報告をおこない,査読付き学術雑誌への投稿をおこなう.
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Causes of Carryover |
2015年度に海外学会へ参加する必要が生じ,その渡航費用を捻出するために2014年度に未使用研究費が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度の研究費は,海外学会への渡航費用,英文校正費用,投稿費用に用いる.
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