2015 Fiscal Year Research-status Report
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26590043
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
森川 正之 独立行政法人経済産業研究所, 副所長, 副所長 (70272284)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済政策 / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、第一に、初年度に入手した日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(日銀短観)のオーダーメード集計データを用いた実証分析、第二に、本年度に実施した独自の企業サーベイのミクロデータを使用した実証分析を進め、いくつかの論文にまとめて公表した。 第一は、日本企業の業況判断の予測と実績等に関するクロス集計及び分布情報を利用して、企業が直面する不確実性の実態とそれが設備投資や輸出に及ぼす影響を分析したものである。この成果は、「業況見通しの不確実性と設備投資」、「「稼ぐ力」の企業間格差」、「為替レート予想の不確実性と輸出」として公表した。また、このうち2本の論文は修正を加えた上で英文化して公表した。これらの研究成果は海外の有力な研究者からコメントをいただくなど、一定の国際的影響力を持ったと考えられるが、英文の査読誌に投稿する準備を進めている。また、成果の一部は現在執筆中の書籍の一部としても活用する。 第二は、初年度に本研究計画の中で企画していた企業サーベイが、競争入札の結果、予算不足から不落となったことを踏まえ、他の研究プロジェクトの一環として本年度に行った「経済政策と企業経営に関するアンケート調査」の中の本研究計画にも利用可能な情報を用いて分析を行った。その結果は、「政策の不確実性:企業サーベイに基づく観察事実」として公表した。また、これを修正した上で英文化する作業を行った(28年度初め頃に公表予定)。 これらの過程で内外の研究の進捗を引き続きフォローし、研究内容に反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、初年度の作業を踏まえつつ、本年度は6本の論文を執筆・公表することができたので、初年度の遅れを取り戻し、現時点ではおおむね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をもとに、所要の改善を加えつつ学術誌に投稿する予定である。また、日銀短観のオーダーメード集計データを用いた分析の経験とその限界を踏まえ、「法人企業景気予測調査」(内閣府・財務省)の個票データの利用申請を行い、分析内容の拡充を図ることも検討している。 内外において政策の不確実性に関する研究は急速に進展しており、多くの新しい論文が発表されているため、引き続きそれらの研究をフォローし、本研究に反映させていく予定である。
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Causes of Carryover |
大きな理由は、本研究の中で実施を想定していた企業サーベイが初年度の競争入札の結果、予算額の不足等の理由から不落となったことである。これを受けて研究計画を見直し、日銀短観のオーダーメード集計や既存の企業サーベイを用いた計量分析を中心に行うこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度においては、これまでの研究成果を拡充するとともに、本研究の趣旨に添った新たな統計データ分析を行うことを計画しており、比較的少額の同年度受入額とあわせて、書籍等の購入、英文校正、通信費等として使用し、研究の発展及び成果の広報・普及に活用する予定である。
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Remarks |
上記はいずれも経済産業研究所(RIETI)のDiscussion Paper。
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Research Products
(6 results)