2014 Fiscal Year Research-status Report
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26590049
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 建二 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20345474)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 管理会計 / 振替価格 / ディスクロージャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の初年度である平成26年度は、交付申請書に基づき、管理会計における振替価格操作とディスクロージャーの2つの話題に関して、それぞれ経済学モデルを構築した。第1に、複数の事業部を有する企業において、本部が振替価格を設定し、事業部が最終的な小売販売価格を決定する状況を想定し、それらの価格水準だけでなく、価格決定のタイミングも最適化されるモデルを構築した。このモデルでは、振替価格を望ましい水準に設定することにより、振替価格や小売価格を決定するタイミングにかかわらず、全社的に最適な利潤を達成可能なことを示した。この研究は研究代表者所属機関のディスカッションペーパーとして収録し、国際学術誌へ投稿した。第2にディスクロージャーに関するモデル構築を行った。具体的には、潜在的参入企業が存在する環境下では、現存する企業にとってどの様な情報開示戦略が最適となるかを分析した。このモデルにより、潜在的参入者が存在する状況では、現存する企業は自身の情報をより開示しなくなる傾向が出ることを明らかにした。さらに、現存する企業が複数存在する場合、企業は他企業がディスクロージャーを行う際に発生する情報ノイズにフリーライドするという結果が得られた。ディスクロージャーに関する研究は2本の論文を所属機関のディスカッションペーパーとして収録し、国際学術誌に投稿可能な状態とした。さらにこれらとは別のディスクロージャーのモデル論文の1つを、欧州会計学会の学会誌であるEuropean Accounting Review誌に投稿し、論文は受理され、掲載が確定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は「研究実績の概要」に記したとおり、管理会計に関する経済理論を基礎としたモデルを構築し、所属機関における英文によるディスカッションペーパーを単著で3本執筆した。これらのうち1本は国際学術誌へ既に投稿し、他の2本は投稿が可能な状態となった。さらにこれらとは別の論文が、会計・ファイナンス分野における著名な国際学術誌に受理され、掲載が確定した状態となった。以上の客観的な研究成果から、「②おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
他の項目に記している通り、本課題は計画に沿った研究の進展が見られている。したがって引き続き、管理会計に関する含意を得るために、さらなる経済学の論理に基づいたモデル構築を行う。得られる成果は本年度と同様に、全て英語を用いて論文を執筆し、国際学会における研究報告とともに、査読付の国際学術誌への投稿・掲載を進め、内外へ向けた研究成果の発信を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度は経済理論を基礎としたモデルを構築する研究を集中的に行ったため、実際にその成果を内外に発信する活動のための費用は、次年度以降に相対的に多く必要となることが予想される。このため、次年度使用額を計上している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に執筆した振替価格操作とディスクロージャーに関するディスカッションペーパーの論文を、内外の学会や研究会において研究報告するための旅費として使用する。また、国際学術誌へ投稿する場合に必要な費用として利用する。具体的には、英文校正に必要な費用として利用する。この他、会計・ファイナンス系の国際学術誌は投稿料を徴収することが現在では一般的であるため、そのための費用としても利用する。
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