2016 Fiscal Year Research-status Report
近世国家形成期におけるイギリス自治都市の公式と非公式―複眼的経済史研究の方法―
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26590053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川名 洋 東北大学, 経済学研究科, 教授 (70312527)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホスピタル / 高齢化 / 介護 / 福祉 / チャリティ / 救貧院 / 中世 / 都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はイギリスの自治都市を主な研究対象に、公と私、富裕層と貧困層、男性と女性、あるいは、形式と実際という二項が対立して錯綜する経済社会へ接近するための社会経済史における新しい研究方法の確立を最終の目的とする。かかる目的を達成するために、複眼的分析手段となる「公式」と「非公式」という新たな分析概念を提起したが、その有効性を検証するため産業革命以前の国家形成期において、経済発展を支えた市民性の芽生えとそれを全国に浸透させた都市化の意義解明に新概念を応用し、草分けとなる経済発展が市民の関与する社会的プロセスに連動するという西欧近世の特質へせまる。 本年度の研究では、イギリス近世都市の救貧活動に大きな影響を及ぼした救貧法を念頭に、同法導入に先駆け発達した救貧介護施設に関連するこれまでの研究成果を精査し論点の整理を行った。近年、ホスピタルの源流について近現代の病院の歴史的文脈において研究が深まる一方で、より宗教色の濃いその初期段階の発達については、我が国において研究蓄積が進んでいるとはいえない。なかでも注目すべきは、移住と社会的分業が繰り返される都市生活圏において、生活困窮者の拠り所を誰がどのようにして提供するのかという普遍的課題への初期的対応事例となる都市ホスピタルである。本研究では、初期の救貧介護施設として主に都市部に定着したホスピタルの歴史が、都市特有の政治的社会的構造に依拠し「公式」と「非公式」という分析概念を用いて解明しうるテーマであることを示しながら、近代福祉国家の形成期以前に伸びる福祉サービスの強みと問題点を明らかにする分析フレームワークの構築を進めた。以上の点を踏まえ必要な基礎資料を整えつつあり、現在、実証分析に向けた予備的研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「公式」と「非公式」という新たな分析概念を用いその有効性を検証する本研究の目的に必要な基礎資料の調査と収集が支障なく進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究成果により得られた知見をもとに、実証研究に向けた予備的研究を継続する。近代福祉国家の形成期以前の救貧活動及び介護施設の動向について制度分析を進める必要が生じたため、中世都市における救貧法関連資料の調査を視野に、都市型救貧施設の運営とガバナンスのあり方を中心テーマに文献資料を収集し論点を精査する。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究において国内図書館所蔵の新たな文献資料に関する調査と収集を優先し、当初予定していた旅費の執行額が抑えられたため。また、各年度に刊行される図書に予想外の変動があり、本年度は関連図書の刊行数が伸びず、購入するための使用額も当初計画していたより少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画したよりも国内外において収集すべき資料及び調査の増加が見込まれるため、翌年度以降の関連資料の調査・収集に向けて当該助成金を次年度以降の旅費・物品費等に合算して使用する。
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