2016 Fiscal Year Annual Research Report
Strangers in local maturing industries
Project/Area Number |
26590070
|
Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
大田 康博 徳山大学, 経済学部, 教授 (90299321)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 制度 / ネットワーク / よそ者 / 繊維産業 / 産地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、繊維産業を主たる事例として、既存の制度、すなわち個人や組織の行動のパターンを形成している社会的な要因に支配されていない制度的な「外部者」が成熟化した産業においてどのような役割を果たしうるのかを検討した。 集中的に調査を行ったのは、国内では、東京、山梨、愛知、京都、福岡の「外部者」である。その活動領域としては、製品企画・開発、製造、情報発信、販売、教育、公的支援と様々なものを見出すことができた。彼らの活動の意義を広い文脈でとらえるため、地域外での活動に関するインタビューや観察による情報収集を実施した結果、彼らの活動の背景には業界の国際的な動向との関わりもあることが明らかになった。 発見事実には、次のようなものがある。制度的な「外部者」は、既存の業界慣習などに制約されることなく、新たなネットワークを産地内外に形成し、繊維製品の高付加価値化などの機会を既存企業に与えたり、起業によって自ら創造している。その活動を地域的な観点から見た場合、巡回型と滞在型とに区分することができる。もっとも、滞在型も、販売活動やイベントなどで産地を離れることは少なくない。 なお、研究成果物では、比較的成功した事例を取り上げたが、データの分析に際しては、停滞的な事例も念頭においてはいた。 本研究を通じて、社会学、民俗学といった他の学問領域でも、「よそ者(stranger)」、「まれびと」などの関連する概念やフレームワークが考案され、貴重な示唆を与えてくれることが明らかになった。それらの知見と今回の調査研究から得られた発見事実がどの程度の共通性をもち、互いに何を学びうるのかを検討することは、今後の課題である。
|
Research Products
(6 results)