2014 Fiscal Year Research-status Report
企業のマーケティング活動におけるデザイン・プロセスの有効性についての探索的研究
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26590073
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
秋山 秀一 兵庫県立大学, 経営研究科, 准教授 (30388889)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マーケティング / デザイン / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業のマーケティング活動におけるデザイン・プロセスの有効性について、理論的、実践的に明らかにすることを目的として実施された。マーケティングとデザインの概念は共通する部分が多いが、これまで異なる研究分野として発展してきた。しかし、近年においてイノベーションの創出やそれによる企業の差別化の要素として、デザインへの関心が改めて高まりつつあった。本研究ではそうした背景のもと、マーケティングとデザインを補完する新たな理論的・実践的枠組みの構築を目指す。まずデザインの概念やマーケティング活動との関わりを整理した上で、企業がデザインを導入するプロセスを検証することにより、これまで焦点が当てられなかったその有効性や課題について探っていくことを目的として取り組まれ、成果は企業や教育へのフィードバックが期待されている。 初年度においては、まず国内外におけるマーケティングとデザインに関わる研究や活動をサーベイし、研究仮説を精緻化する試みを行った。その上で、デザインを導入し成果を上げる企業や組織を抽出しインタビュー調査を行うことで実態を把握し、デザインの導入により連携やコミュニケーションが促進される条件を探ることに重点をおいた。当初は初年度より海外調査を検討していたが、文献サーベイと国内事例調査に時間を費やしたため、次年度へ繰り越すこととした。 今年度の研究成果の一部は、秋山秀一(2015)にまとめた。ここでは、マーケティングにおけるデザイン概念の整理と、ミラノ工科大学のVerganti氏の研究(デザイン・ドリブン・イノベーション)を中心に主に文献をサーベイし、中小企業におけるデザインの課題や役割について考察し、今後の課題を検討した。この作業により、今後の研究の方向性についての確認ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に推移しているものの、当初計画していた海外調査については、国内での調査結果や文献等の情報をもとに調査内容を検討中であり、平成27年度において2か国以上で実施予定である。また、学会報告及び情報発信についても同様である。26年度においては、小規模なワークショップやSNSを通じて情報発信を行った。それらの取り組みから得られる知見が多いことから、27年度も引き続き行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては、26年度における国内での調査結果や文献等の情報をもとに、インタビュー調査のための仮説を立案した上で、企業やデザイン関係者へのインタビュー調査、取材を引き続き行うこととし、国内でもできるだけ多くの情報を集められるよう工夫する。その結果を踏まえて実施する海外調査に関しては米国と欧州において行うことを検討している。その結果を学会やワークショップ、SNSを用いてフィードバックすることで研究ネットワークの構築と新たな課題発見を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度は文献及び国内調査を重視し、当初予定していた海外調査及びそれに付帯する調査研究を27年度実施するほうが効果的と判断されたため、係る費用を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の研究成果を踏まえ、27年度において2ヵ国以上(米国、欧州他)での企業や関係者へのインタビュー調査を実施し比較検討を行う。現在、26年度得られたデータや文献をもとに計画を検討中である。
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