2015 Fiscal Year Research-status Report
企業のマーケティング活動におけるデザイン・プロセスの有効性についての探索的研究
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26590073
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
秋山 秀一 兵庫県立大学, 経営研究科, 准教授 (30388889)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | デザイン / マーケティング / デンマーク / ソーシャル・イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業のマーケティング活動におけるデザイン・プロセスの有効性について、理論的、実践的に明らかにすることを目的としている。初年度においては、国内外の関連分野の研究や活動をサーベイし、その一部を秋山(2015)にまとめた。今年度はその結果を踏まえ、主に以下の3つの調査研究に取り組み、成果の一部を秋山(2016)にまとめた。 (1)文献・事例調査(平成27年4月~平成28年3月) (2)海外調査(平成27年8月24日~8月30日):当初の計画どおり、デザインの分野では先行する北欧企業の調査を行うためデンマーク(コペンハーゲン)を訪問し、複数の企業の探索的調査を行った。また、同時期に南デンマーク大学(University of Southern Denmark Kolding)にて開催された国際学会(IMP Conference 2015)に参加し、最新の研究動向についての意見交換と情報収集を行った。調査結果について現在とりまとめており、次年度の調査研究に活かされる。 (3)国内調査(平成27年9月~平成28年3月):ローカルな観点から、ソーシャル・イノベーションとデザインとの関わりについて検討した。具体的には、兵庫県篠山市において古民家の再生事業を手掛ける一般社団法人NOTEの先駆的な取り組みに注目して、①デザイン(狭義)は社会企業家によって生み出される製品やサービスの意味を利用者や社会に伝える媒体となること、②ソーシャル・イノベーションの創出プロセスのあらゆる局面で、デザインの活用が求められていること、③イノベーションを生み出す組織と戦略について、特に、地域に関わるマルチ・ステイクホルダーによるオープンな場と、デザインによるイノベーションの議論におけるクローズドなネットワークの違いについて検討した。 以上から得られた知見をもとに、次年度の研究に取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に推移しているものの、当初計画していた2か所の海外調査についてはデンマーク1か所とし、その分現地での企業調査に加えて国際学会での情報収集を行なった。また26年度に引き続き、国内での学会やワークショップ等での情報発信も行った。それらの取り組みから得られた知見は28年度において取りまとめ、さらなる研究課題、計画へとつなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は文献・事例研究をさらに進めつつ、大きくは海外調査に向けた仮説を設定し調査を実施する。これまでの研究から、デザインの導入プロセスやそこにおける課題が明らかになってきたものの、理論的な整理や独自の研究フレームワークの構築という点では部分的であり課題が残っている。日本と海外(欧州、米国)におけるデザイン導入プロセスの異同などもさらに検討する必要があり、理論的・実践的両面からそれらの諸点を検討し、研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
当初2カ国の海外調査を計画していたが1カ国(デンマーク)で企業調査と国際学会への参加が実現したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度においては、2カ国の調査が実施できるよう検討している。
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