2014 Fiscal Year Research-status Report
Gaze-cueingによる潜在的な行動誘導効果の解明と実務的応用手法の確立
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26590075
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
井上 淳子 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (40386537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 敦紀 立正大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20609565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | gaze-cueing |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度中、gaze-cueing効果を確認するための実験を行った。実験では、画面の中央に凝視点が500ms呈示された後、視線の無い顔が呈示された。900ms後、左右のいずれかを向いた視線が呈示された(視線手がかり、有効性は50%)。その後、ドット(標的)が顔の左右いずれかに呈示された(視線手がかりと標的のSOAは117msか700ms)。実験参加者(N = 17)の課題は、標的の位置をできる限り速くかつ正確に報告することであった。視線の方向に標的が出現する試行を一致条件(128試行)とし、視線の逆方向に標的が出現する試行を不一致条件(128試行)とした。なお、実験参加者が反応を抑制するキャッチトライアルとして、顔の輪郭円のみが呈示される試行も混在していた(128試行)。 実験後、反応時間の中央値を条件ごとに求め、全実験参加者の平均反応時間を算出した。2要因2(条件:一致、不一致)×2(SOA:117、700ms)の分散分析を行ったところ、条件とSOAの交互作用が有意であった(p < .05)。SOAが117msの条件において、一致条件では不一致条件よりも平均反応時間は有意に短かった(p < .05)。SOAが700msの条件では、有意な差は見られなかった(p > .10)。この結果から、非意図的な注意のシフトを促すgaze-cueingの有効性は117msという短い時間では保たれる一方、700msでは持続しないことが分かった。いずれにしても、gaze-cueingの効果が確かめられたことで、今後の発展的研究に希望が見いだせた。なお、この実験に関連する知見は共同研究者の有賀によって第13回日本認知心理学会にて報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画において、設定した仮説と若干異なる結果が導かれたため、その原因の追究、検討に時間を要した。前半は幾分計画よりも遅れていたが、現時点ではおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の実験実施について計画策定の時間が限られているので、迅速に進め、夏のフィールド実験がうまく遂行できるようにしたい。多くの人が集まる機会を利用しての実験を実施するため、まずマテリアルの作成と予備的な確認を実行してから実験をし、データの分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度の実験実施において学生サンプルを用いて謝金を節約したことに加え、予定していた研究報告出張の数よりも実際に参加できた学会が少なかったため。また、設備の購入を先延ばしにしたことにより、本年度使用金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は実験実施のためのPCの購入、記録用ビデオ等の設備の購入に加え、研究成果報告のための出張に使用する予定である。また実験に必要なマテリアルの作成を専門業者に依頼するための費用、フィールド実験の実施店舗への謝礼、その他一般参加者への謝金として申請した金額が必要となる。
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