2016 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of gaze-cueing on inducing behavior
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26590075
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
井上 淳子 成蹊大学, 経済学部, 教授 (40386537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 敦紀 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20609565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | gaze-cueing / 視線手がかり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、gaze-cueingの効果を確認するとともに、その効果の実務的適用範囲を検討し、実験的に検証した。gaze-cueingは、他者の視線に基づく注意の定位と定義され、ある対象が他者の視線方向に出現する場合、ほかの場所に出現する場合よりも観察者が素早く認知することができるといわれている。そして、この効果は現実の人間の顔でなくとも、イラストや人物写真を用いても生起し、無意識的に生じることが先行研究により明らかにされている。 この効果を確認するため、次のような実験を行った。パソコン画面に視線手がかり(右か左)を有した人の顔の線画を出現させ、その後画面に現れるターゲット画像の出現位置を実験参加者に正確に報告させるというものである。視線手がかりとの表示からターゲット画像の出現時間(SOA)は117msと700msに設定し、また視線手がかりとターゲットが一致する条件、不一致の条件の2つを設けた。その結果、視線手がかりとターゲットの一致条件で反応時間が有意に早く、gaze-cueing効果は再現された。また、700ms条件ではこの効果が消滅していることから、視線手がかりが反射的注意を高めることがわかった。さらに、この効果は実験参加者の一般的信頼のレベルによって調整されるも発見できた。 続いて、gaze-cueingの効果が人の行動レベルにまで影響をもたらすかを確認するために実験を行った。実験室の壁に人の胸から上のイラスト(専門家に依頼し、目が印象的な女性のイラストを作成。視線が右向きのものと左向きのものを用意した)を設置し、イラストの視線が示す方向へ人を誘導できるか検証した。その結果、視線手がかりは矢印記号と同様の誘導効果を持つことが明らかにされた。また実験素材をパレイドリア(人の顔に見える別のもの)に変えた実験でも、人の能動的行動を促進することが確認できた。
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