2014 Fiscal Year Research-status Report
消費者の求める「本物感」‐本物感尺度の開発と広告への応用‐
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26590077
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Research Institution | Kobe Shukugawa Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 祥司 神戸夙川学院大学, 観光学部, 講師 (70704922)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 本物感 / ブランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,消費者が製品やサービスに対して主観的に感じる本物を「本物感」として捉え,本物感尺度の開発,及び当該尺度を用いた応用的研究を予定している。 本年度は,本物感尺度開発に向けた基礎的な研究として,本物感を構成する要素,および要素間の関係を明らかにすることを試みた。 リサーチ会社のモニターを対象として得た質的データを用いて,消費者行動研究を専門とする二人の研究者がコーディングし,本物感を構成する複数の要素を明らかにした。本研究の全体的な目的の一つとして,本物感尺度の開発を挙げていることから,本段階においては敢えて要素の精緻化は図っていない。次に,要素間の関係を検討するために,共起ネットワーク分析を行った。当該分析を用いたのは,消費者は,コーディングで明らかになった要素のいくつかを連想させることによって対象が本物であると評価していることが推測されるためである。共起ネットワーク分析の結果から,本物感を構成する要素は比較的強く結びついているいくつかのグループに分類できることが示唆された。同時に,消費者が対象を解釈する際に用いる属性の観点から要素の分類を試みた。 最後に,上記を踏まえ,本物感を構成する要素,及び要素間の関係を示した本物感の概念図を検討した。先行研究で指摘されてきた要素の多くは,客観的に評価され得る属性である一方,本研究ではそれらに加えて,消費者による主観的に評価され得る属性も明らかにしている。その上で,消費者は属性を横断しながら対象を本物であると評価していることを示唆した。次年度においては,概念図を基礎とした本物感尺度開発を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において,本物感を構成する要素,及び要素間の関係を反映した概念図を作成することができた。本物感を構成する要素を下位尺度とした尺度開発を目的としている点において,先行研究で指摘されてきた客観的な属性だけではなく,主観的な属性も概念図で示すことができた点は,次年度の本格的な尺度開発に向けて有意義な点であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,次の研究を計画している。 (1)質的調査(インタビュー調査),(2)尺度の検討,(3)量的調査(尺度開発) (1)質的調査(インタビュー調査)の目的としては,本年度示した概念図の精緻化にある。概念図を基礎とした半構造化インタビュー(20名)を予定している(2015年6月~7月)。(2)尺度の検討は,先行研究で用いられている尺度,近接概念の尺度,及び本年度の成果とインタビュー調査の結果を反映した複数の尺度を作成する(2015年7月~8月)。(3)量的調査(尺度開発)は2回予定している。妥当性,信頼性の確認は,先行研究を踏まえて実施する(2015年9月~2016年1月)。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査を次年度に変更したため。 本年度は,インタビュー調査を実施する前の段階として,リサーチ会社モニターを対象として質的データを収集した。 次年度において,インタビュー調査を実施することで,本年度の成果の精緻化を図る。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた通り,インタビュー調査(20名)を実施する。
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Research Products
(1 results)