2017 Fiscal Year Research-status Report
日本中世寺院会計史―東寺の会計システムと会計的思考の解明―
Project/Area Number |
26590081
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
三光寺 由実子 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (60549301)
|
Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 会計史 / 東寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東寺百合文書(京都府立京都学・歴彩館所蔵。約20、000点の古文書群。国宝。国連教育科学文化機関(ユネスコ)「世界の記憶」)の中に伝来する、光明講方算用状(中世東寺において追善講を行う一組織である光明真言講(以下光明講)が作成した収支計算書)における会計システムの変遷を実証的に解明することにある。本研究は、本研究は、以下の二点について、段階的に遂行するものである。 ①光明講方算用状における会計システムの把握・・・応永34年(1427)を初出とし、享禄5年(1532)までの100年強という光明講方算用状の残存期間において、光明講方算用状をめぐる会計システムの変化とその要因を考究。光明講方算用状の構成、ならびにその作成するまでの、原始簿および関連文書間との関係、すなわち帳簿組織を現存史料より検討。 ②光明講方算用状における会計史的意義の究明・・・①を踏まえ、当該研究対象を日本会計史の中でいかなる意義を持つのかを考究。これにより、会計史研究においてほぼ手付けずにある寺院会計史研究への開拓を試みる。 今年度は、特に②の作業を重点的に行った。とりわけ、「光明講方算用状の社会的インパクトに関する究明」すなわち、本研究の研究成果を国際学会、ならびにAccounting Historyのような会計史におけるトップジャーナルで公表することを念頭に、光明講方算用状や、そこから導出される会計思考が、東寺や社会的にいかなるインパクトを与えたのかを考察した。なお、2016年8月から産前産後および育児休暇を取得し、2017年10月に職場復帰した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年10月の職場復帰後、不測の事態に多々みまわれ、2018年3月で研究期間を終了する予定であったが、止むを得ず延長申請を行った。2018年度中に、Accounting Historyへの査読論文の投稿を完了する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
英語論文の文章表現を効率よくかつブラッシュアップさせるために、英文校正サービスを積極的に利用し、進捗のスピードを上げていく。具体的には、Accounting Historyで推奨されているSAGE LANGUAGE SERVICEを利用する予定である。
|
Causes of Carryover |
2017年10月の職場復帰後、不測の事態に多々みまわれ、2018年3月で研究期間を終了する予定であったが、止むを得ず延長申請を行ったというのが、次年度使用が生じた理由である。職場復帰をして半年たち、状況も落ち着いてきた上、英文校正サービスなども利用し、効率的に研究成果を外部に公表できるように試みる予定である。
|