2014 Fiscal Year Research-status Report
企業のイノベーションと人的資本の測定・開示に関する先端的研究
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26590083
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
古賀 智敏 同志社大学, 商学部, 教授 (70153509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島永 和幸 神戸学院大学, 経営学部, 准教授 (90362821)
姚 俊 立命館大学, 経営学部, 助教 (00610932)
島田 佳憲 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70733351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イノベーション / 人的資本 / インタンジブルズ / 長期的・持続的成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業のイノベーションを促進するための中核をなす人的資本(人材)に焦点をあて、これら資本をいかにして、どこまで認識・測定するかについて考証することを通じて、わが国企業のイノベーションを促進させるビジネス・モデルを推進し、もって企業の長期的・持続的成長に資する会計理論・制度構築のあり方を研究することを目的とする。 平成26年度においては、(1)人的資本の会計的認識・測定に関する先行研究レビュー、(2)管理会計における人的資本の戦略的利用状況に関する研究を実施した。 (1)では、過去10年間にわたる日本におけるイノベーション研究に関する議論をレビューし、今後の研究課題の整理を行った。そして、経済成長が現在の日本経済における喫緊の課題であり、また経済成長やキャッシュ・フローの源泉はイノベーションであるという問題意識から、コミュニケーション・ツールやネットワーク力を通じたナレッジ向上や価値創造といった観点で革新性(innovativeness)が求められていること、さらに知的資産(人的資本)に代表されるような様々なビジネスの場で利用可能であるインタンジブルズを活用することを通じて企業内の資源を動員することの重要性が明らかとなった。 (2)では、従来のハード・プロダクトに焦点を置く管理会計モデルから、人的資源、ノウハウ、R&Dなどソフトの無形価値ないしインタンジブルズのコントロールと意思決定を重視した新時代の管理会計モデルの開発と発展を背景に、心理・行動の側面からインタンジブルズ情報がマネジメント・コントロールや意思決定プロセスにおいてどのように利用されてきたかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度においては、本目的達成の根幹をなす理論的フレームワークの構築に不可欠な先行理論研究のレビューを完了しているとともに、コミュニケーション・ツールやネットワークといった観点からイノベーションにおける人的資産の重要性を明らかにした。さらに、財務会計的な分析視座のみならず、管理会計における行動科学的研究という視座から人的資本(インタンジブルズ情報)の戦略的な利用に関する研究を実施しており、イノベーション研究に求められる学際的研究を遂行できている。それゆえ、本研究の達成度はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度における研究を基礎に、企業のイノベーションならびに長期的・持続的成長を促進する人的資本にかかる会計理論の構築について深化を図る。また、こうした理論をベースにして、学際的視点から人的資本がどのように長期的・持続的成長に活用されているかに関する実態調査を実施する。
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