2014 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病問題の現状をめぐる日本・韓国・台湾の国際比較研究
Project/Area Number |
26590085
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福岡 安則 埼玉大学, 教養学部, 名誉教授 (80149244)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市橋 秀夫 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70282415)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ハンセン病問題 / 韓国ソロクト病院 / 韓国定着村 / 台湾楽生院 / 聞き取り / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
韓国・台湾・日本のハンセン病問題の現状をめぐっての国際比較をめざす本調査研究として、平成26年度は、8月20日(水)~28日(木)の8泊9日の日程で「韓国の定着村」のフィールドワークと聞き取り調査を実施した。調査メンバーは、研究代表者の福岡安則、連携研究者の一盛真、そして黒坂愛衣(平成27年3月13日付で研究分担者に加わることが承認された)、通訳の役割を担う研究協力者の金香月と上山由里香の5名。21日、慶尚北道の定着村「聖信村(ソンシンマウル)」、22~23日、同じく慶尚北道の「漆谷村(チルゴクマウル)」調査、24日、大邱市(テグシ)の「愛楽園(エラグォン)」視察、25日~26日、安東市(アンドンシ)の「星座園(ソンジャウォン)」調査。27日、ソウルで「ハンセン総連合会」事務所訪問、意見交換。――ハードな調査スケジュールであったが、たいへん中身の濃い実り豊かな調査旅行となった。 研究成果としては、黒坂愛衣が、「第30回日本解放社会学会大会」で韓国調査の報告をしたほか、「韓国ハンセン総連合会」の隔月刊の機関誌『ハンセン』に、3回にわたって韓国語で調査結果を報告させていただいた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象者たちとの関係性はきわめて良好であり、予定された調査が滞りなく進められた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,「ハンセン病問題の現状把握」のより大掛かりな国際比較研究を可能にする土台づくりを平成27年度中に構築し,いずれ「基盤研究(A)(一般)」に応募して,調査チームの拡充も図りたいと考えている。 まずは,この5月9日~10日に開催された「第11回ハンセン病市民学会in東京・駿河」では,研究代表者の福岡安則が「実行委員会事務局長」をつとめた。これは,社会学の領域でいう“アクションリサーチ”という技法であり,調査対象が社会問題であるとき,当事者たちによるさまざまな社会的実践がなされる。研究者自身がその渦中に入ることにより,通常では得難い情報が入手可能となるなど,利便性に富む。同大会では,福岡が「分科会 国際連帯」のコーディネーターをつとめたことで,これまでの調査で懇意になった「韓国ハンセン総連合会」の会長,専務理事と,「台湾楽生院」の保存運動を展開する「台湾楽生保留自救会」の初代会長,現会長をゲストとしてお招きした。このことをとおして,韓国・台湾の当事者たちとよりいっそうの親密関係を構築できるはずである。 平成27年度の目玉となる具体的な調査計画としては,8月19日~26日の7泊8日の日程で,韓国のソウルを訪ね,「韓国ハンセン総連合会」の会長,専務理事からの聞き取り調査やソウル近郊のいくつかの「定着村」調査を実施する予定である。 残った予算で,日本国内のハンセン病療養所での補充調査を実施するとともに,聞き取りの音声おこしなどを精力的に進める。学会報告をするとともに,韓国ハンセン総連合会の機関誌『ハンセン』に,韓国語で調査結果を連載する。
|
Causes of Carryover |
調査結果整理のための消耗品代を節約することができたため,である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査結果を一日も早く公表できるようにするため,聞き取りデータの「音声おこし」作業の謝金に有効に使う予定である。
|
Research Products
(4 results)